ふるさと納税でオオグソクムシやEXILEグッズをくれる自治体って…返礼品がブッ飛んでる
“ふるさと納税がお得”と言われて久しい。所得税や住民税の控除が受けられるだけでなく、そのお礼として特産品や特典がもらえるメリットがある。近年ではカニやイクラなどの魚介類やブランド和牛、銘柄米など、高級品が受け取れる自治体も増えてきた。
とはいえ、全国の自治体で高級路線が進むなかで、「なぜこれが!?」というパンチの効いた返礼品ならぬ“変礼品”も存在している。今回は、SNSで納税者のツイートが話題になった自治体と、そのユニークな返礼品を紹介しよう。
近年、ダンゴムシのような“キモカワイイ”見た目でプチブームとなっている深海生物オオグソクムシ。水産物が豊富で返礼品の品数日本一の焼津市では、駿河湾で穫れたオオグソクムシ2匹が生きたままクール便で送られてくるとのことで、Twitterで大きな話題になった。オオグソクムシを返礼品にした経緯とは。静岡県焼津市役所を直撃してみた。
そもそもオオグソクムシとは、日本の本州中部以南の水深150~600メートルほどの深海底や、大陸棚に分布している深海生物。ダンゴムシやフナムシの仲間である等脚類で、体長は10~15センチメートルほど。水産部ふるさと納税課の太田氏がこう話す。
「見た目がグロテスクで非常に貪欲。網にかかった魚を食い荒らすことがあるので、漁師からは嫌われていました。ですが、焼津で全国的にも珍しい深海漁を専門とする長谷川さんという漁師の方がおり、深海ブームのおりにこのユニークな生き物を水産資源として活用できないかという提案があったため、平成26年度から盛り上がりつつあったふるさと納税の返礼品にラインナップさせたところ、SNSで話題となりました」
そんなオオグソクムシを生きたままクール便で送っているのは本当なのか……?
「深海生物のため、夏・秋の間は水温、気温が高く、漁獲してもすぐ死んでしまうため、返礼品としてはおよそ12月~4月くらいまでとし、あくまで“観賞用”として寄附者の方にお送りしています。子どものいる寄附者の方から注文が入ることが多いですが、なかには深海生物マニアの方から注文が入ることもあり、ブログなどで紹介してもらえるケースもあります」
観賞用とのことだが、とはいえ、実際に食べることも可能。現在は、オオグソクムシが練り込まれたせんべい「焼津 長兼丸 オオグソクムシせんべい」が15000円以上の寄附でもらえるようだ。さておき、お味のほうは……。
「実物は、筋肉部分がエビとシャコの中間のような味、またはエビやカニに似た味といわれていますが、食用可能な部分は少量。味は美味だが、殻が固く身も少ないので、粉末にしてせんべいにするのがベスト。“エビせん”みたいな味がしますよ」
埼玉県行田市は「中遮光器土偶」など、土偶や埴輪(のレプリカ)がもらえることで話題になっている。非常にシュールなアイテムだが、一体なぜ……。そこで、行田市に問い合わせてみたところ、行田市は前方後円墳の二子山古墳や円墳の丸墓山古墳など、東日本最大級の「埼玉古墳群」が有名で、埴輪や土器が出土するらしい。
総合政策部企画政策課の吉野氏によると、2016年9月に「古墳の街」をPRし、地元商店街を応援する狙いから土偶を返礼品に指定。昨年末、返礼品を受け取った納税者の投稿が広く拡散され、一時期は製造が追いつかないほどの人気になったそうだ。
今年は、発掘現場に便利な軍手や保冷剤、もはや用途がなんだかよくわからない土偶ペンライトなどのオリジナルグッズと、9月2日まで東京国立博物館で開催されている“縄文の美”をテーマにした特別展『縄文-1万年の美の鼓動』の前売券がセットで提供され、これまた「尖っている!」とネット民たちの心を掴んだ。
吉野氏は「寄附者様のツイートが予想外の反響を呼び、大変驚いています」とうれしい悲鳴をあげつつ、「これをきっかけに、行田の歴史などに興味をもっていただき、さきたま古墳群や忍城址のほか、日本遺産の構成資産である足袋蔵などが点在し、歴史が息づくまち行田に足を運んでいただければと思います」と話した。
静岡県焼津市「オオグソクムシ」
埼玉県行田市「土偶」
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明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
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