2017年の世界遺産登録なるか?「百舌鳥古墳群」
「百舌鳥(もず)・古市古墳群」。といってもピンとこない人が多いだろう。百舌鳥古墳群は仁徳天皇陵古墳(大仙古墳)、古市古墳群は応神天皇陵古墳を中心とした古墳群で、日本を代表する巨大古墳群だ。
仁徳天皇陵古墳は歴史の教科書にも載っていて、誰でも知っている存在。しかし「百舌鳥古墳群」については、知名度はまだまだ低い。
「そこが悩みどころです」と、堺市文化観光局世界文化遺産推進室の宮前誠室長は打ち明ける。
「堺市の百舌鳥古墳群と藤井寺市の古市古墳群をあわせての世界遺産登録をめざしているのですが、仁徳天皇陵古墳は有名でも百舌鳥なんていうのは読み方もわからない人が多い。できるだけ多くの人に百舌鳥古墳群を知ってもらいたいのですが……」(宮前室長)
そんな堺市は百舌鳥古墳群をもっとよく知ってもらいたいと、今年3月25日に画期的な施設を堺市博物館内に開設した。VR(バーチャル・リアリティ)映像で、古墳群を空から見た風景を体感するというものだ。
「古墳を横からではなく、上から見てみたいという方は多いと思います。しかし、仁徳天皇陵古墳の全景を上から見るには、500mほどの高さまで上がらなければなりません。そこでこのVR映像で、百舌鳥古墳群全体の上空からの風景を体感していただけるようにしました。まるで飛行機に乗って古墳群をめぐっているような、リアリティのある映像になっています。これでこの古墳群のすごさを知っていただければと」(同)
ところで、仁徳天皇陵古墳のどこが世界遺産に値するほどすごいのだろうか?
「墳丘の全長は486m、濠(ほり)を入れると約840m。全長ではクフ王のピラミッド(約230m)、秦の始皇帝陵(約350m)を超え、世界最大です。また、百舌鳥古墳群・古市古墳群ともに世界的な評価を受けているのは、前方後円墳という日本にしかない独特なデザインの巨大な古墳が一か所に集中していて、それが1500年以上もそのままの姿で残されてきたという点です。また、市街地にこれだけの巨大な遺跡が残っているというのも世界的には珍しいようです」(同)
堺といえば中世から貿易港として発展し、「東洋のベニス」とまで言われた場所。江戸時代も幕府の直轄地として重要な商業都市であり、現在も政令指定都市になっている。はるか昔から都会だったこの地域に、なぜこれほどまでの古墳が残されてきたのだろうか?
「明治時代に宮内庁の管理になる前まで、古墳の濠は貯水池がわりに、墳丘は薪などを取る場所として利用されていて、里山の機能を果たしていたようです。地元の人々がずっと古墳を大切に扱ってきたからこそ残されたのでしょう」(同)
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しかしこの古墳群、巨大な古墳が多いので、歩いてまわるのはかなりきつそうだ。
「JR百舌鳥駅前でレンタサイクルを借りるのがおすすめです。平坦な道が多いので走りやすいですし、自転車で行ける範囲内に与謝野晶子や千利休をはじめ先人の歴史スポットもあるので、古墳以外の観光スポットも一緒にまわることができます」(同)
東京国立博物館でのキトラ古墳壁画展が大盛況となるなど、最近の古墳ブームは世界遺産登録に向けて追い風のようだ。
「古墳群や博物館を訪れてくれる人もぐっと増えてきて、地元も盛り上がっています。ぜひ『もず古墳群』の名前を覚えていただいて、百舌鳥・古市古墳群の世界遺産登録を応援してください!」(同)
※堺市東京事務所では、「東京・さかい交流会」の会員を募集中。会員には無料で堺市バッジとPR名刺を進呈。会員の相互交流を目的とした総会は9月28日(日)に開催予定。詳しくは「東京・さかい交流会」Facebookページ(https://www.facebook.com/tokyosakai)まで。
<取材・文/北村土龍>
2017年の世界遺産登録を目指しているという
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