国産旅客機MRJが飛行再開へ。今後のライバルは中国産か?

 2月16日に開幕したアジア最大の航空ショー「シンガポール・エアショー2016」。ここに、日本の航空機が満を持して出展した。

MRJ

三菱航空機のホームページより

 その名は、MRJ(三菱リージョナルジェット)。三菱航空機がおよそ半世紀ぶりの国産旅客機として開発してきた渾身の小型ジェット旅客機で、昨年11月の初飛行以来、注目を集めているのは周知の通りだ。

 MRJは昨年11月第1回目の初飛行後、主翼の強度不足が見つかったことから飛行試験を中断していたが、2月10日、およそ2か月半ぶりに試験飛行を再開。愛知県豊山町の名古屋空港に押し掛けた大勢のMRJファンは、再び大空を駆け巡る勇姿に拍手喝采を送っていた。

 加えて、シンガポール・エアショー2016に出展したこの日、製造元の三菱航空機は、アメリカの航空機リース会社のエアロリースに、計20機販売することで基本合意したことを発表。2018年に納入開始予定というが、この契約が成立すれば、これまで国内外の航空会社から受注してきた407社と合わせて、トータル427機になる。

 MRJが目指してきたのは、世界に誇る国産旅客機だ。従来の日本の航空機メーカーは高い技術力を持ちながら、欧米の同業に部品を供給するだけで、いわば「下請け」のひとつに過ぎなかった。それが日本オリジナルの国産旅客機として世界で認められれば、日本の“ナショナル・フラッグ・カンパニー”とも言える自動車産業に次ぐ一大産業となることも夢ではなく、ビジネスとして大きく「跳ねる」可能性を秘めていると言っていいだろう。

 しかし、手放しでこれを喜んでもいられないという見方がある。小型ジェット機市場に参入するには高く大きな「壁」が存在する。航空評論家の秀島一生さんが話す。

「3000キロ程度の地域間を航行する小型ジェット機の市場は、ブラジルのエンブラエル社とカナダのボンバルディア社による二社独占状態。ここに、中国やロシアの機体が参入しようとしていて、今後も爆発的に競合が増えていく可能性を秘めています。その理由は、採算性の高さです。小型ジェット機は搭乗人数100名以下で、採算を取れる平均的基準が7割。つまり、100名なら70人、70~80人乗りなら50人くらい乗っていればトントンで、非常に採算を取りやすいビジネスなのです」

 果たしてMRJは、競合他社がひしめき合う小型ジェット機マーケットでその存在感を見せつけることができるのか? MRJの今後を占ううえで、もっとも「脅威」となりそうなのが、中国が2002年から開発を進めてきた安さが売りの「ARJ21」だ。同機は昨年11月末に初めて中国の航空会社に引き渡され、今後5~6年で中国国内の顧客を中心に、30機程度の引き渡しを予定しているという。

「MRJの勝負どころは、燃費のよさに尽きます。設計を工夫してエンブラエル社の新型機と比較しても10%も燃費を節約できました。ただ、開発強化中の中国やロシアの機体がどういうものか。国力を揚げて参入するわけですからね。また、これまで中国に売り込もうとしていたのが、中国が自国生産機を使えば売り込み先は当然狭まります」

 燃費のよさも、原油安で航空機に使うジェット機が値下がり状態となっている今、どこまで売りになるのか……。新規受注に沸く一方で、国を挙げてマーケットを開拓しなければ、この快挙が尻つぼみに終わりかねないリスクを今も抱えており、政府による、今以上のバックアップが今後も期待される。 <取材・文/日刊SPA!取材班>

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