日本の電子書籍市場が盛り上がらない理由

オンライン書店大手のAmazonの電子書籍用端末Kindleがついに日本発売。サービス開始も秒読みで、普及が進む電子書籍業界への起爆剤になりうるか?

◆ようやく動き出す!? 日本の電子書籍市場の現状と課題

 現在、iPhoneやiPad、そしてアンドロイド端末も出揃い、それぞれのストアには電子書籍が並んではいるものの、あまり話題にはなっていない。

パブリッジ

大型出資で一気にスキームを確立させたいパブリッジだが、山積した課題も多い

「実際、スマートフォンや電子書籍端末での展開は利益が出ていません。利益がないから動きも遅い。そこで、大手15社と賛同280社からなる出版デジタル機構がパブリッジに株式会社化、産業革新機構から150億円の出資を受けて電子化を推進することになりました。Amazonなどの交渉もここを窓口の一つにするようです」(デジタルライターの久保内信行氏)

 しかし、これで個別の出版社の交渉から一本化されて電子書籍の普及にもスピードが増すと考えるのは、少々疑問だ。

「Appleストアの手数料30%にも抵抗し、自社販売チャンネルを模索してきた大手出版社がAmazonの50%ともいわれる手数料と、価格決定権を渡すことに簡単にOKするとは思えず、交渉はまだ難航しそうです」

 さらに、出版点数の増加についても課題が残る。

「アメリカとは違い日本では著者の力が強く、出版社は一冊ごとに電子化のお伺いを立てていくのが通常。簡単に出版点数を増やせない事情もある。また、売れっ子作家なら自前でストア登録したほうが利益も上がるため出版社自体の地位を脅かす可能性もある」

 ほかにも著作隣接権の問題など、出版社側と著作者側の協議もいまだ継続中だったりと、複雑な権利問題も絡んでいる。

 では、Amazonが日本上陸を果たしても、電子書籍の現状は進まないのだろうか?

「紙書籍の販売でも無視できない大きなシェアを持つAmazonはやはり黒船といっていい衝撃を業界に与えるはずです。また、Amazonに限らずアメリカにはB&N、koboなど有力な電子書籍メーカーがあり、どこかが有利な条件を出せば一気にそちらに動く可能性も高い。楽天はそれを見越してかkoboを傘下に収めており、勝負をかけてくる可能性は高いですね」

 どちらに転ぶにせよ、利害関係だけでなく、読者が気軽に使えて便利でなければ、結局普及せずで共倒れにもなりかねない。

 黒船襲来で、日本の電子書籍市場も正念場を迎えているのだ。

取材・文/デジペディア取材班
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