東名・大和トンネルの渋滞は暫定拡幅で解消できる

1987年に閣議決定され、御殿場JCT―三ヶ日JCT間の開通まで約15年かかった新東名。一度に162kmもの高速道路が開通するのは、日本の高速道路開通史上最長だとか。最終的に新東名は、海老名南JCT~豊田東JCT間で全長254kmになるそうだ。これで東名の渋滞は劇的に減少するのか? 高速道路研究家として分析しました 清水草一=文 Text by Shimizu Souichi 池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu ⇒【前半】はコチラ
「新東名建設を非難した大マスコミは猪瀬氏に土下座せよ!」
 新東名は、現在も建設が続いている。残り区間のうち、名古屋寄りの浜松いなさ―豊田東間は2~3年後に開通。これで東名・音羽蒲郡付近の渋滞は消滅する。東京寄りも8~9年後に全通の予定だ。  ただ、海老名南から先はルートも未定で、事実上、建設は不可能。「だから新東名なんてあまり意味はない」と書く新聞もいまだにあるが、それは違う。建設中の圏央道が開通すれば、南側を迂回して交通量に余裕のある首都高湾岸線に直結し、横浜および都心へアクセスできるようになるのだ。  ただし、圏央道の全線開通は早くて4年後。それまでは週末ごとに大和トンネルを先頭にした渋滞が続く。なんとかならないか?  実は、すばらしい解決策が示されている。  昨年10月から新東名開通までの暫定措置として、東名の豊田JCT―美合PA間が、路肩を潰し車線の幅を狭くすることで片側3車線に拡幅されているのだ。これで渋滞は96%も減少した!! 「路肩がないんじゃ危険だし、事故が増えるんじゃ?」と思われるかもしれないが、この区間、拡幅後は事故も半減している。路肩がないより、渋滞しているほうがはるかに危険なのである。  この手法は、東名・大和トンネル付近にもすぐに応用できる。暫定措置でいいから、ぜひとも現在の片側3車線を暫定4車線に拡幅していただきたい。  東日本大震災を受けて、民主党および国交省も、ようやく高速道路建設に前向きになってきた。大和トンネルや中央道の小仏トンネルのような渋滞の名所については、追加してトンネルを掘り、抜本的な対策を取る方針だという。  しかし、抜本対策は時間がかかる。とりあえずは暫定措置で車線数を増やしてもらいたい。その区間は制限速度60kmでいい。どうせ誰も守んないから。現実的に対応しましょう! 【結論!】 10年前の氷河期を抜け、高速道路にバラ色の未来が見えてきた。10年後には、首都圏を除き、渋滞はほぼ消滅しているだろう。直近の渋滞対策には、効果絶大な「暫定拡幅」を! NEXCO東も西も追随してもらいたい。 新東名高速MAP拡大画像はコチラ⇒
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新東名高速

豊田JCT-美合PA間は、路肩を潰して車線幅を狭くし暫定的に片側2車線から3車線に拡幅運用中。制限速度は60kmだが、そんなもん誰も守らずスムーズに流れている。事故も大幅に減った(クリクで拡大)

― 新東名建設を非難した大マスコミは猪瀬氏に土下座せよ!【2】 ―
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