“世界一売れた乗用車”新型ビートルは愛されるのか?【後編】
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
「フォルクスワーゲン・タイプ1」を少し年配の方はビートルではなくワーゲンと呼んだりしますが、それは全くもって大正解なわけです。「ワーゲン」や「ビートル」「カブト虫」なんて愛称のあるこの車の最新版、3世代目の「ザ・ビートル」は一体どんな進化をしているのか、実際に乗ってみた
MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi
望月浩彦=写真 Photographs by Mochizuki Hirohiko
【前編】はコチラ⇒https://nikkan-spa.jp/231757
今度の新型「ザ・ビートル」はどうかっていうと、これがなんだかスキのないクルマになっている。デザインは、元祖カブト虫のイメージに近づいた完成度の高いものに。背が低くなって幅は広くなったんで、見た目の安定感は猛烈に増した。
インテリアも、伝統の一輪挿しがあったニュー・ビートルに対して、一輪挿しを廃止。以前よりビジネスライクで、質感の高い仕上がりになってる。しかも、当面買えるのは豪華な本革仕様のみ! もう、かつてのラブ&ピース感はない。
このあたりは、「もっと男性に乗ってもらいたい」ってことらしい。先代は女性には人気だったけど、かわいすぎて男性客が少なかった。そこで今度は、高性能で豪華な「男のビートル」を目指している。
ニュー・ビートルは後席が狭くて頭がつっかえたし、トランクも狭かったけど、そのあたりもしっかり解消。大人が4人乗れるようになってる。エンジンは1200㏄の直噴ターボのみ。低い回転からものすごくトルクがあって、走りは万全だ。燃費も、フツーに走ってリッター14kmくらい行くだろう。
この日は、同じリバイバルカーであるフィアット500に乗って行ったんだけど、乗り換えたらあまりの差に衝撃を受けた。フィアット500に比べると、ザ・ビートルはまるでレーシングカーなんだよ! メチャクチャ幅が広くて安定感抜群で、加速もよくてさ。
しかし、これはちょっとやりすぎじゃないか?
かつてラブ&ピースの象徴だったビートルが、ドイツ的性能至上主義の権化になっている。これで本当に愛されるんだろうか? これなら、「ゴルフの代わりに」って選べるのは確かだけど。
これでハトヤに行けば、昔の100倍快適だろう。エアコンもあるし(当たり前)。でも、なんかワクワクしないな。わざわざ昔の形をしたクルマを作るんだから、もうちょっとスキのあるクルマ作りをしてもらいたかったね。
※内装などの画像はこちら⇒ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=231771
【結論】
クルマの幅が広すぎて、女性が運転しているのを外から見ると、やたらスカスカに見えるんだよね。大きく作り過ぎたオモチャって感じ。まあ、アメリカでデブが乗ればちょうどいいんだろうけど。
- ルーフの形状を変更したことで、ニュー・ビートルでは狭いと不評だった後席の上部に余裕が。少し背が高いカブト虫になりました。
- ラゲッジも214リットルから310リットルに拡大
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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