元祖「維新の会」ドクター中松氏「日本維新との連携の可能性ある!」
発明家・ドクター中松氏が、先に橋下徹大阪市長を中心に新党として旗揚げした「日本維新の会」の名称を、すでに商標出願していたことが話題になっている。日本維新の会側には「混乱が広がっている」と報道されているが、この新党の“ネーミング問題”、維新内部ではある程度予期されていた話のようだ。日本維新の会関係者の一人がこうボヤき気味に話す。
「橋下人気で『大阪維新』という名前が広く浸透したわけですから、新党名を決める段階で、『日本維新の会』や『○○維新の会』、もしくは、単に『維新の会』とするのが順当だと言う意見が多かったのは事実です。ただ、維新の名を勝手に語る姑息な人たちもすでにいましたし、法的な問題も含め、そうすんなりとは決められないのでは……と危惧する声もあった」
確かに、橋下フィーバーが吹き荒れた昨年春の統一地方選では、維新の会の名前やポスターのデザインまでパクる“エセ維新の会”の候補者が続出。先に行われた民主党代表選にも出馬した原口一博元総務相も、昨年2月に「日本維新の会」と称する勉強会を立ち上げており(その後「日本維新連合」なる団体も設立)、石原慎太郎東京都知事も、たちあがれ日本を母体にした政治塾に「日本維新の会」という名前を使用している。だが、人気にあやかりたいのは何も政治家だけではない。今年に入ってからも、すでに「維新の会」や「維新の魁」といった名前で、複数の酒造会社などが商標登録を出願、登録しているほどなのだ。
特許など知財管理にも詳しい弁護士で参議院議員の丸山和也氏が説明する。
「商標とは商売に関するもので、党名など政治については登録の対象にならないので、新党名を『維新の会』にしても問題はない。とはいえ日本は“先願主義”なので、例えば橋下クン御用達のコスプレ風俗店が、先に『維新の会』という店名を登録していれば、橋下クン側がイメージを傷つけるからやめてくれ! と文句を言うこともできない。逆に、仮に橋下新党が政策的に極端にバカげた方向に突き進んだりすれば、先に新党名と類似、または同一の商標登録を持つ企業側から、ウチの商品のイメージダウンになるから政党名に使わないでくれ! とのクレームがくる可能性は絶無ではない。スナックやラブホテルが『シャネル』という名をつけて、“本家”のシャネルから訴えられた例もありますから。……ただ、私には今の橋下クンがやっていることは、政治タレントを集めた“橋下維新興行”にしか見えない。選挙に勝ちたいがために擦り寄る政治家が多いこともあり、今の政界は“維新バブル”の状態。今こそ政治家は、バブルに踊らされず、哲学を持ち自らの人間性を磨くべきなんです!」
さすが、橋下氏と15年来の付き合いのある丸山氏ならではの分析だが、今回のドクター中松氏が出した商標登録の出願は、橋下フィーバーの時期と呼応するかのように、’09年12月の段階で出されたもので、あからさまに維新の会を意識しているように見えるのも事実だ……。渦中の中松氏を直撃してみた。
――「日本維新の会」などの商標登録をすでに出願していると報道されているが。
中松:実は、私は日本がまだバブルに浮かれていた24年前、すでに今の危機的状況を予測し、日本で一番早く維新を訴えていたんです。平成元年に私が出した『平成日本を診断する』(ビジネス社)という本で、「平成維新」という言葉を使い、政治の発明で日本を救うにはどうすればいいのかを書いてます。つまり、「平成維新」の著作権は私が持っている。最近になって、思いつきで「維新」を叫び始めた輩と一緒にしてもらっては困る!
――日本維新の会側からの問い合わせは。
中松:ありません。礼儀として挨拶くらいあって然るべき。私の唱えた「維新」は、今までの政治はダメだから、新しい政治をしようということ。従来の政治家ではない橋下さんが行う政治は結構なことと思っています。ただ、既存政党の議員と組むという報道もある。それはするなと助言したい。
――橋下氏側から連携を求められたら。
中松:協力しますよ。政策も近いですし、24年前から国を憂いてずっと行動しているわけですから。ただ私は、橋下さんが言う衆院議員の定数半減や、歳費30%カットに関しては、もっとやるべきと思っています。私なら国会議員に加え、地方議員もカットします。ただその前に、まずは(新党名の使用について)ひと言挨拶に来て頂きたい。
維新という名に振り回されている今の日本を見たら、明治を生きた“元祖維新”の国士たちも気が気ではないと思うゼヨ! <取材・文/山崎元(本誌)>
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