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風俗バイトは就活成功への近道!? 女子大生風俗嬢が急増した意外な理由とは

「学費を稼ぐために、この業界に入った――」  キャバクラ嬢や風俗嬢の常套句といもいえるこの一言。かつては、単なる営業トークだととらえられがちだったが、いまやその言葉こそが真実になりつつあるようだ。 「ここ数年、普通の女子大生が風俗業界でバイトをするケースが非常に増えてきました」と語るのは、10月13日に『女子大生風俗嬢 若者貧困大国・日本のリアル』(朝日新聞出版)を上梓した、作家の中村淳彦氏だ。  本来ならば学生生活をエンジョイしてしかるべきの女子大生たちが、なぜ風俗に身を染めてしまうのか? 風俗バイトは就活成功への近道? 女子大生風俗嬢急増の意外な理由とは――中村:若者や学生の貧困は、凄まじいことになっている。親からの援助が減ったりなくなって、真面目に勉強したい、いい就職したい、奨学金という借金のこわさを知っている……など、自立した頭のいい学生ほど風俗嬢をしている。風俗は豊臣秀吉が日本で初めて作ったと言われているけど、今現在は安土桃山時代以降の長い歴史の中で、最も女性がカラダを売ることが一般化している時代かもしれない。 なぜそうなっているのか。理由のひとつは、親の世帯収入の減少で大学の学費の負担が困難になっていること。それと国による高等教育予算削減の結果、学費高騰していること。そうした事態にも関わらず、高卒就職は急激に減って、若者たちが大学へ進学せざるをえない。こうした、さまざまなネガティブな社会背景が重なって、学費や生活費で困難を抱える学生が増えてしまった。今の女子大生風俗嬢たちのほとんどは、例えば高度成長期やバブル期に大学生だったら、一生カラダを売ることはなかったと思います。 ――昔であれば、学費を払えないのならば、奨学金に頼るという手もあった。日本学生支援機構の調査によれば、現在、奨学金制度を利用している日本の大学生は50%以上と、過去最高の割合となっている。しかし、この奨学金制度こそが女子大生が風俗に流れ込む大きな要因だと中村氏は語る。 中村:かつての給付型や無利子の奨学金とは違い、いまの奨学金は、国がお金を有利子で学生に貸しつけて金融事業化している。『奨学金』との名前こそついているけど、実態は学生ローン。その結果、大学生の過半数は、大学進学によって自己破産相当の借金を背負い、卒業後には、社会人になって半年後から15年~20年かけた返済をする。自己破産相当の借金なので社会生活、結婚、出産など、人生設計が狂う。払えなかったら容赦なくブラックリスト送り。非婚や少子化が加速するのは当然で、未成年に自己破産相当の金融契約をさせるなど、どう考えても異常な制度としか思えません。 ――とはいえ、奨学金を使わずに学費を自己負担できるほど高単価な仕事は、大学生にはなかなか見つかるものでもない。奨学金で有利子の負債を背負うか、学生生活に影響あるほどアルバイト漬けになるか。その選択を迫られた結果、学生たちが選ぶのが「風俗」なのだ。 中村:そのような大学生の貧窮をブラック企業が利用している実情もある。親の世帯収入が低い大学生の場合、低賃金の長時間労働で学生生活を蝕ませながら学費を稼ぐしかない。有意義な大学生活を送っているのは富裕層の娘と、風俗嬢とキャバ嬢だけ。風俗業は、時間の融通も利くし、高単価。頭のいい女子大生ほど、風俗バイトを選んでいるようにみえる。 ――女子大生という肩書に加えて、若さもある。そんな「商品価値」を兼ね備えているため、高級ソープや高級デリヘルなど、単価が高い風俗店ほど、女子大生風俗嬢が出没する傾向にあるのだとか。しかし、数年前まで女子高生だったようなずぶの素人が、一流店の風俗嬢として通用するのだろうか?

女子大生が風俗業界に大量に流れ込んでいる現状をリポートする『女子大生風俗嬢 若者貧困大国・日本のリアル』(朝日新聞出版)

中村:人によるけど、女性の多くは一週間も働けば慣れちゃう。お金のために“泣きながらカラダを売る”みたいなのは男性の幻想です。しかも店側は女の子を大切にするし、無理な労働も求められない。ただ女性の供給が過剰な状態なので、仮に学費稼ぎとはいえ根性がある子しか生き残れませんけどね。 ――そして、気になるのが、風俗嬢となった女子大生たちの就職先だ。一度風俗業で身体を売ることに慣れてしまえば、そのまま卒業後も風俗嬢として働き続けてしまうのでは? 中村:就職先はピンからキリまで千差万別ですが、カラダを売ることによって経済的貧困を脱して、学生時代に時間にゆとりができるので、実は女子大生風俗嬢の方が普通の学生よりも就職がよかったりする。ただ一方で、『カラダを売って換金』という経験をしているため、世の中を斜めに眺める力もついている。ブラック企業みたいな会社に就職をしてしまったら、すぐに辞めて風俗に出戻るでしょう。 ――貧困世帯の女子大生にとって、風俗は就活を成功させる最善の策となりつつあるのかもしれない。学費のために、風俗に身をやつす。苦学生を地で行く女子大生が急増する一方で、風俗嬢になれる女子学生は、「まだ恵まれている」とのこと。 中村:仮にカラダを売る覚悟をしたとしても、供給過剰なのですべての女子大生が風俗嬢になれるわけではない。売れる外見とカラダなど高いスペックがないとそもそも採用されない。ダメだった子は、最低賃金に近いブラックバイトで、学生生活を楽しむ間もないほどに働く。また、経済的貧困には男女関係がないので、『カラダ』という売り物がない男子学生は男娼やホストになったり、大学の同級生や恋人を風俗に沈めたり、詐欺に加担してしまうケースもある。 最悪のケースは、風俗はもちろん、アルバイトもせず、第一種奨学金、第二種奨学金をフルで毎月18万円借ることですね。例えば、Fランク大学の社会福祉学科みたいなところに通う子たち。背負ってしまった借金を取り戻しようがない。卒業後15年間、20年間と苦しむことは間違いない。たぶん、結婚も出産もできないのではないのではないでしょうか。 ――また、貧困家庭に育った子ほど、NPOや福祉業界に興味を持ち、ブラック企業に入社する傾向があるのだとか。 中村:そもそもFラン大学は学費が高い。さらに、福祉関係の学部に進んでも、福祉・介護業界は賃金が安くて雇用条件も悪く、なかなか奨学金返済分の年収を得ることは難しい。自己破産相当の負債を背負ったら、どう考えてもアウトです。返済できるはずがない。社会人になっても奨学金に搾取され、低賃金長時間労働でブラック企業に搾取され……まるでホラーです。その後の人生は、地獄みたいなものになるんじゃないでしょうか。 ――学生たちの貧困化がますます進み、さまざまな社会問題を産んでいく。その悲惨な状態に対して、中村氏はこう提言する。 中村:進学を控えた高校3年生までに、人間は決して平等ではないことを知るべき。世帯収入が低い親に生まれてしまった若者は、勇気をだして『昼間過程には進学しない』もしくは『大学には行かない』という道を選択した方がいい。日本の9割の会社は中小企業、大学卒が絶対条件ではないので、人生が制限される借金を回避して高卒で自分に向いている道を探し、社会の中で逆転することを狙うべき。どうしても、勉強したいなら通信過程でもいいじゃないですか。むしろ、今のブラック企業だらけの状況で、奨学金で多額の借金を背負ってしまえば、人生の取り返しがつかなくなりますから。 【中村淳彦】 大学卒業後、編集プロダクション、出版社を経てノンフィクションライター、代表作に『名前のない女たち』シリーズがあり、劇場映画化もされる。高齢者デイサービスセンターを運営していたが手を引き、ノンフィクション、ルポルタージュを執筆。著書に『崩壊する介護現場』(ベスト新書)、『AVビジネスの衝撃』(小学館新書)、『ルポ 中年童貞』(幻冬舎新書)などがある。
女子大生風俗嬢

若者貧困大国・日本のリアル

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