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プロレス素人だったライターの記事はなぜ炎上したのか【最強レスラー数珠つなぎ vol.1 佐藤光留】



――一番好きな技はなんですか?

佐藤:これが極まると脳から紫色の液体が出るのは、蟹挟(かにばさみ)です。普通、蟹挟って、ロープ際で足を引っ掛けて相手を前側に倒すんですけど。僕はロシア式で、飛び着いたら後ろ側に倒すんです。この技が高校のときから得意で。だれも教えていないし、だれも使っていないんですけど。ビクトル古賀さんっていうサンボのパイオニアの裏ビデオがなぜか道場にあって、カッコいいと思ったんですよね。いまでもたまに使います。

――佐藤選手は派手な技よりも、レスリングでじっくり見せるイメージです。

佐藤:派手な技をやっているつもりなんですけど(笑)。まあ、必要ないんじゃないですかね、自分には。パンクラスのときも、鈴木さんは「プロレスラーがやる総合格闘技」という指導をしていたので。万能じゃダメなんだ、面白くないだろと。ロープに振ってドロップキックもやって、鋭い蹴りも関節技もやるけど、スープレックスもやるしコーナーからも飛ぶ。一見、理想的でそういう選手もいるけど、実は人気がなかったりする。足りないものを埋めていくから面白いんじゃないのっていう。鈴木さんは、出来ないものは放っておけばいいんだよ、常にお前はホームランだけ狙えっていう人だったから。だから必要ねえんだって。

佐藤:いつの間にか足関節で業界でも上のほうにいって、それでプロレス界に来たら、もちろんプロレスの技もいろいろ練習したんですけど、違うなと。外に飛んだらもっと凄い奴がいて、スープレックスをやったらもっと凄い奴がいて、顔でいったらもっとカッコいい奴がいて、体格でいったらもっとデカい奴がいて。なんだったら出来るんだろうと思ったときに、これだと思ったのがいまのスタイルの走りじゃないかと思います。

 いまは僕より小さいレスラーがたくさんいますけど、昔はこの体格じゃプロレスラーになれなかった人種なんですよ。けど、パンクラスに入って鈴木さんに、「強かったらプロレスラーでいていいんだ」って言われたんです。「お前みたいな奴は、本当はプロレスラーになっちゃダメなんだ。俺もそう言われた。でもパンクラスは、強かったらプロレスラーとして存在できるんだ」と。入って一ヶ月くらいのときじゃないかな。

――強さとはなにか。ひと言で言うとなんでしょうか。

佐藤:辞めないことです。辞めたら、強いということを証明する機会を自ら失いますから。きっぱり辞める人もいるんですけど、ダラダラでもいいから続けることです。生きている限り、チャンスがきますから。

――ありがとうございました。では、次の最強レスラーを指名していただけますか?

佐藤:鈴木みのるって言うと思ってますよね? でも鈴木さんはずっと一緒に練習しているし、あと立場上、強いんです(笑)。もちろん戦っても強いんですけど、ここで紹介するのはちょっとズルい気がするんですよね。

 僕がフラットな中で体感して、うわあ、この人強いなと思ったのは、全日本プロレスの宮原(健斗)選手です。今年の4月にシングルマッチをやったんですけど、こんなに追い風が吹いている人を見たことがなかったです。人間として、追い風が吹いている。そんなふうに感じたのは初めてでした。

 次回、全日本プロレス三冠王者・宮原健斗インタビュー、乞うご期待。

〈取材・文/尾崎ムギ子 撮影/安井信介〉

【PROFILE】
佐藤光留(さとうひかる)/パンクラスMISSION所属。1980年7月8日、岡山県岡山市生まれ。レスリングの名門・岡山学芸館高等学校出身。フリースタイル/グレコローマン70kg級で全国大会3位入賞。高校卒業後、パンクラスに入門。鈴木みのるを師匠に持ち、総合格闘技で数々の実績を残す。2008年、DDTプロレスリングのブランド・ハードヒットにてプロレスデビュー。現在、全日本プロレスを中心に、様々なプロレス団体で活躍している。Twitter:@hikaru310paipan

⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1198188

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尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko
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