東京五輪ではスケボー界から「お騒がせアスリート」が誕生すると予想。その根拠は?
~今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪 第33回~
※前回の話…スポーツ好きブロガーのフモフモ編集長が、東京五輪でチケットが買えそうな穴場競技探訪へと出かけました。今回のテーマは追加競技。追加された5競技18種目の中から野球、ソフトボールなどのメジャー競技はもちろん避けて今回ターゲットにしたのは「ローラースポーツ(スケートボード)」。予想通りの穴場感、さらに東京五輪のスター候補と思しき若手選手がしのぎを削る姿に手応えを感じていたフモフモ編集長だったが……。
しかし、僕は試合が進むごとに違和感を覚えていきます。最初は
「中学生も混じってるし、こんなもんなんやろな……」
と思っていたのですが、全員が予選を終えて1周した段階になっても、いわゆる「完璧」な演技をした選手がひとりもいないのです。さっき「国内最高峰の大会」と聞いたはずなのですが、「美しいスケボー」という会心の演技はまったく見られない。
転倒する、スケボーがどっかに飛んでいく、勢いが足りなくなったのでスケボーを手で持って斜面の上まで走って再スタートする……などの素人目にも「大過失」と見えるミスをほぼ全選手が犯します。
内村航平さん基準で「着地で一歩動いてしまった!」までミス扱いとしてカウントすれば、全部の演技が失敗に見えるくらいのアバウトさ。失敗の数ではなく、成功の数を見て評価するということなのでしょうが、あまりにミスが目立つと
「ホントにコレは五輪とつながっとるんやろか……」
と老婆心ながら不安になってきます。
また、大会の運営も雰囲気重視で危なっかしい。
まず公平性の観点で重要であろうと思われる「時計」がありません。持ち時間の判定は流れる音楽と、場内実況の「ここまでー!」の声に委ねられているようです。まぁ時間自体は、フィギュアスケートのように、ある程度演技時間に幅を持たせてもOKなのかもしれませんから、細かいことを気にするのは一旦やめます。
ただ、「ここまでー!」の声に合わせて最後の技を繰り出す選手が多いところを見ると、実施できる技の回数に制限はないのでしょう。その場合、最後の1秒で大技を入れた場合、「ここまでー!(※最後の大技入らず)」と「ここまでーーーーー!(※最後の大技大成功)」とでは、大きく差が生まれそうです。あまりフェアじゃない感じがします。
そして、とりわけ驚いたのが、最終的に順位を発表する際に「最後の最後まで議論をした」という苦労話風自慢が運営側から飛び出したこと。どの選手がよりカッコよかったか意見がわかれ、最後まで白熱の議論がつづいたという、「大会のハイレベルな盛り上がり」を語った「褒め言葉」なのでしょう。スケボー界的にはOKなんだと思いますが、五輪で実施する競技として見ている者としては、
「採点で議論なんてあり得るのか!?」
と衝撃を覚えました。
採点には、基準があるのが当然で、その基準はすべてのジャッジが共有している
……というのが、競技スポーツの当然の姿。
加点の幅や傾向に多少差が出ることはあるにしても、何が得点となり、何が減点となるかは、あらかじめ決まっているのが、当然だと思うのです。競技スポーツならば。しかし、スケボーでは、まるで仮装大賞の優勝か何かを決めるように「審査員が議論している」。本番ではもっと整備されるのかもしれませんが、この感じで国内選考会とかをやって大丈夫なのか。揉めたりしないのか。本番まで残り4年、代表選考まで残り3年あまり、代表選考の基準を決めるまでには残り3年しかない。すごく不安です。
実際、会場に貼り出された採点表を見ると、「そりゃ議論も必要だな」と思うような得点のバラつき具合。
とにかくジャッジ間で見ているモノや、カッコよさの基準が全然違うのでしょう。
50点から80点くらいのスコアが並ぶ中で、同じ演技に対してあるジャッジは56点をつけたかと思えば、別のジャッジは77点をつけていたりする。4人のジャッジが50点台の演技で、ひとりだけ70点台をつけていたりする。ときには、あるジャッジがつけた点に対して、あるジャッジが「倍以上」の点をつけるケースも見られます。
「それぞれが『俺なりのカッコよさ』を基準に採点してるんだ……」
ジャッジとの相性次第で順位が変わり、ジャッジの好み次第で順位がガラリと変わってしまう。スケボー界の中ではまったく問題ないんだとは思いますが、五輪という舞台に引きずり出されたとき、すごく揉めそうな気がします。
納得いかない応援団が軽く暴れるんじゃないかと心配になるレベルです。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1207685
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