“ヒットマン”と“HBK”の暗闘:ショーン・マイケルズの場合――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第251回(1997年編)
ショーンはザ・ロッカーズ(パートナーはマーティ・ジャネッティ)、ブレットはハート・ファウンデーション(パートナーはジム・ナイドハート)としてそれぞれ1980年代にタッグ部門で活躍後、1990年代前半にシングルプレーヤーに転向した。
リングコスチュームはショーンがいわゆる柄モノのロングタイツで、ブレットはシングレットとロングタイツを組み合わせたカルガリー・スタイル。どちらも“ブレッド&バター”と呼ばれる無地のショートタイツとリングシューズの古典的スタイルではなく、歴代のチャンピオンと比較するとふたりとも髪が長い。
こういった視覚的イメージ、データ的な共通点のほかにこのふたりが共有していたものは「ベスト・レスラー、ベスト・パフォーマーは自分である」というフィーリング、プロレスラーとしてのみずからの技量に対する絶対的な自信だった。
この自信をショーンは“ザ・ショーストッパーThe Showstopper(公演を中断させるほどの喝采を浴びる千両役者)”、ヒットマンは“ザ・ベスト・ゼア・イズ、ザ・ベスト・ゼア・ワズ、ザ・ベスト・ゼア・エバー・ウィル・ビーThe best there is,The there was,The best there ever will be(過去、現在、未来においてベスト・レスラー)”という定番のキャッチフレーズで表現した。
ビンス・マクマホンの苦悩はまさにこのあたりにあったのだろう。WWEのオーナーであり、WWEという大河ドラマの製作総指揮・監督であるビンスにとっては、ブレットもショーンもハルク・ホーガンに代わるWWEの新しい時代の主役候補だった。
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