フランス原発で日本製の欠陥部品が大問題。国内原発17基にも使われている!?
前出の井野氏も「規制委の調査は不十分です」と批判する。
「規制委が参考としているデータは、過去の分析データや解析結果だけで、実物の検査をやっていません。特に日本鋳鍛鋼がフランス向けの蒸気発生器のものとして出したデータは、鋼材中の炭素の割合についての予測値が0.29%とされていますが、誤差の設定が大きすぎて、最大値はフランスの基準値をはるかに超えた0.37%にもなります。これでは信頼のおけるデータだとは言えません。実際の部品を超音波などによる非破壊検査や原発部品の表面の分析を行うべきでしょう。これらの検査はすぐできるはずです。また、廃炉が決定している国内の原発で、実際の部品の破壊検査もしてみるべきでしょう」
日本の規制委の呑気さに対し、ASNの調査は徹底している。「フランスは’14年末の問題発覚以来、約2年かけて徹底的な調査を行っています」とバーニー氏。
「製造当時の編集されていない生データや、外部表面の非破壊検査、超音波検査、計算による分析、問題の部品のレプリカを使用しての化学・機械検査や破壊検査、未使用の交換用の蒸気発生器を使っての検査などです。これだけのことをやって、フランスの多くの原発に深刻な問題があることが改めてわかったのです」
【ショーン・バーニー氏】
グリーンピース・ドイツ核問題シニアスペシャリスト。過去30年以上、原発の問題に取り組む。原発の鋼材強度問題を調査、日本側に伝えるために来日
【井野博満】
東京大学名誉教授。工学博士、専門は金属材料学。共著に『福島原発事故はなぜ起きたか』(藤原書店)『材料科学概論』(朝倉書店)など
【小出裕章】
元京都大学原子炉実験所助教。福島第一原発事故以前から原発の危険性を訴え続けてきた。『原発のウソ』(扶桑社)など著書・共著多数
― 原発17基[重大欠陥疑惑]を追う ―
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