原発事故から6年、いまも20km圏内に取り残された動物たちを世話する人々
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現在、20km圏内は部分的に住民の帰還が進められているものの、戻ってきた住民の数は少ない。人間から餌をもらう動物である猫が生きていく環境は、整っていない状況だ。太田さんはボランティアと協力して、えさ台を置いてもらえるよう地権者に交渉しつつ、猫の数が増えすぎないよう去勢手術も行っている。(※太田康介さんの「えさ台」活動については個人ブログ「うちのとらまる」を参照)
’11年の原発事故から6年間、警戒区域内に取り残された動物たちを撮り続けている写真家がいる。太田康介さん(58歳)だ。事故後、人間たちは辛うじて避難することができたが、自力で避難することのできないペットや家畜は置き去りにされ、その多くは餓死していった。
「当時、原発20km圏内には、牛が約3400頭、豚は約3万1500頭、鶏は約63万羽が取り残されていました。犬は登録されているだけで約5800匹でしたが、未登録の犬もかなり多かったと思われます。猫に至っては、その数はわかっていません」(太田さん)
6年が経った現在の原発20km圏内には、その痕跡がわずかながら残っている。福島県富岡町のある牛舎には、餓死した牛たちの骨がいまだに多数転がっていた。柱には、腹を空かした牛たちが飢えをしのごうとかじった跡がくっきりと残っている。周辺の田んぼでは除染が行われていたが、この牛舎内だけは時が止まっているかのようだ。
現在の20km圏内は除染が進められ、地震や津波で破壊された家屋も解体が進んでいる。この地域に、太田さんは東京から2週間に1度のペースで通い、猫の世話をしているという。
「まだ、世話が必要な猫が残っているんです。普通に餌を置いておくとアライグマや狸、猪などの野生動物に食べられてしまうので、猫だけが入れるサイズの『えさ台』を高所に設置しています」
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