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北陸新幹線の開業から約2年。心配された上越新幹線沿線経済への影響は?【2014年問題のその後】

 北陸新幹線の2014年度開業に伴い、従来の上越新幹線の利用客が北陸新幹線に移ることで、上越新幹線のダイヤ減便など“枝線化”が予想されるとともに、新潟県が両新幹線の狭間で分断される事態が懸念された「2014年問題」。北陸新幹線開業から2年が経とうとする中、現状はどうなっているのか。青森大学社会学部の櫛引素夫教授に両新幹線の「その後」を聞いた。 「北陸新幹線は2016年度、開業1年目には及ばないながらも、利用者は在来線時代の3倍弱を維持しています。終点の金沢市は予想を超える観光客が訪れて活況を呈しましたが、宿泊費の高騰や特定の観光スポットの混雑といった混乱にも見舞われました。開業前、地元が期待していた『長期滞在型の観光客増加』が定着するかどうか、中期的に見ていく必要があります。また、『じゃらん宿泊旅行調査2016』(リクルートライフスタイル)によると、富山県の宿泊者数の伸び率は25.4%と全国1位でした。沿線では、『遠くて近かった』北陸と長野地域の相互流動が活発化し、沿線の経済的、社会的つながりが再構築されつつあります。“目の前のお金の動き”よりも“モノや価値、お金を生み出す仕組みの誕生”という、中長期的な経済効果の可能性に注目したいですね」  さらに櫛引氏は、新幹線開業を“列車のこと”としてだけで捉えると地域の変化を読み間違える危険性があると指摘する。 「北陸信越運輸局が2015年度に実施したビッグデータの解析によれば、北陸新幹線の開業は鉄路のみならず、マイカーやレンタカーといった自動車による膨大な流動の変化を生んでいると思われます。『新幹線はチケット代が高いから、2度目からは車で行ってみよう』といった動きが存在している可能性が高い。北海道新幹線の沿線も参考にすると、一見、新幹線とは無縁の高速道路の沿線や『道の駅』などで経済的恩恵が生まれることもあり得ます」
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沿線経済は今後、どうなるのか
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地域振興と整備新幹線

「はやて」の軌跡と課題

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