北陸新幹線の開業から約2年。心配された上越新幹線沿線経済への影響は?【2014年問題のその後】
上越新幹線の沿線経済への直接的な影響はまだ見えづらいが、上越新幹線の沿線では’15年度、長岡駅の1日平均乗車人数25%減少、新潟駅は15%減った。北陸と往復する在来線特急「はくたか」の廃止と、接続列車の役割を果たしていた上越新幹線『たにがわ』の大幅減便、割引切符の廃止などが影響しているとみられる。沿線経済は今後、どうなるのか。
「まだ、統計的な数字が出そろう段階でなく具体的な検証には及んでいません。『たにがわ』の減便や利用者減少なども、当初から『2014年問題』として織り込み済みではありました。新潟市などでは、お金よりもむしろ、『置き去りにされる』、『経済が地盤沈下する』といったマインド面での影響が気掛かりです。新潟県内の分断が進み、地域の交通網や意識が再編されかねない状況下で、“変化に適応、対応する意志と能力があるか”という点で、新潟県は試練に立たされているといえるでしょう」
北陸新幹線開業がもたらした本質的な影響はまだ未知数。地元の対応にゆだねられる部分も大きいとはいえ、北海道新幹線や北陸新幹線の延伸が控え、四国新幹線構想もささやかれる昨今、同問題の経過は今後も要注目だ。
【櫛引素夫氏】
’62年、青森県生まれ。青森大学社会学部教授、地域ジャーナリスト、専門地域調査士。東奥日報記者を経て現職。著書に『地域振興と整備新幹線』(弘前大学出版会)のほか『東洋経済ONLINE』でも執筆
〈取材・文/石田恒二〉
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