“スーパーフライ”ジミー・スヌーカ死去――「気楽にいこうよ」のハンドゼスチャーが忘れられない東京での一夜【フミ斎藤のプロレス講座】
気がついたら、スヌーカさんはおとなりのテーブルに座って食事をしていたジョー山中さんと楽しそうにおしゃべりをはじめていた。山中さんは「格闘技は大好き。プロレスも大好き。『あしたのジョー』の主題歌を歌わせてもらったから、ぼくは格闘家とは心が通じ合ってるつもり」といってほほ笑み、スヌーカさんも静かな笑みをたたえて山中さんのほうをみていた。
ぼくらの世代だと、ジョー山中さんというと映画『人間の証明』の“Mama,Do you remember”という主題歌なのだけれど、そのフレーズをそのまま口ずさむと失礼かもしれないので、それはやめておいた。
パッとうしろを向いたら、内田裕也さん――子分を何人か引き連れた――が立っていた。山中さんと内田さんは握手をしてハグをして、おたがいにニッコリ笑っておしゃべりをはじめた。山中さんはスヌーカさんを内田さんに紹介し、内田さんとスヌーカさんもニッコリ笑って握手を交わした。とてもゴージャスなシーンだった。
3人のアーティストたちは、ステージでそれを演じる自己とオーディエンスの関係を語り合っていた。「Vice Versaヴァイス・ヴァーサ(逆もまだ同様に)」とか「 Psychologyサイコロジー(観客心理)」とかキーワードが飛び交っていた。
スヌーカさんは、そのテーブルに座っていた人びとにハワイのハングルースHang Loose(気楽にいこうよ)のハンドゼスチャーを教えていた。God Bless Him――.
※「フミ斎藤のプロレス講座」第68回
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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