ビジネスマンの「予測」を狂わせる6つの重大要因とは? 実証実験で明らかに
――それぞれのヒューマンエラーについて詳しく教えてください。
小松:【①常識を疑うことなく、それを前提にしてしまう。】は、例えばホームセンターなどで「ボリューム陳列だと売れる」という業界の常識に捉われ、在庫が過多になり、損失を生んでいるような場合です。
【②「動き」を知りたいのに「静止画的発想」をしてしまう。】は、例えばメーカーで生産数を予測する際に、過去の一時期の販売実績や在庫を切り取って、その情報だけで判断しようとしてしまうことです。物流は文字通り「流れ」として捉えなければ正確な予測はできません。
【③因果があっても相関があるとは限らないのに、理由を「後付け」してしまう。】は、例えば、原因Aに対して結果Bとなったからといって、即座に「AだからB」と言えるとは限らないということです。にもかかわらず「結果ありきの理由付け」をしている場合がよく見受けられます。例えば、「暑くなったら冷し中華が売れた」からといって、「日々の気温により冷し中華の販売量が左右される」とは言えません。我々も実験をしたことがありますが、実際には、同じ気温でも販売量が大きく異なることが多いのです。つまり、「冷やし中華が売れたのは気温のせい」と結論付けてはいけないということです。
【④ショックに対して、どうしても過剰反応してしまいがちになる。】は、例えばある年の夏が猛暑になったら、小売店が飲料水を過剰に発注して在庫を抱え、猛暑が終わると一転、必要以上に発注を絞り、在庫を薄くし過ぎて今度は欠品してしまうような状況です。
【⑤「異常」の状態を「正常」と捉えてしまう。】は、例えばコンビニでタバコのカートン買いの頻度はそれほどない(=異常な事態)にもかかわらず、それを「正常」な状態と捉え、いつ来るか分からないカートン買いのお客さんに備えて、カートンの在庫を多く抱えてしまうような場合です。
【⑥間違った観察・評価・判断をしてしまっていることに、そもそも気付かない。】は、例えば、企業の合併の際に、合併それ自体がスケールメリットを生むものではないのに、「スケールメリットが期待できるので合併した」と企業側も、報道する側もよくコメントしているようなケースです。ブレグジットの国民投票やアメリカ大統領選における専門家やマスコミの予想が外れたのも、このケースの典型的な例です。
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