自意識を持つAIは、人間と何が違う? AIの進化によって考えさせられる人間らしさ――鴻上尚史
― 週刊SPA!連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ―
虚構の劇団公演『もうひとつの地球の歩き方』が1月19日から始まりました。新作です。キャッチフレーズは「記憶とシンギュラリティと天草四郎の物語」です。
シンギュラリティですよ。2045年に、コンピューターが爆発的に進化して、人間の能力を超えることになる、なんて言われてるやつですね。もう、あっちもこっちもシンギュラリティですわ。
「完全な人工知能ができたら、それは人類の終焉を意味する」なんて、スティーブン・ホーキングは言ってます。ビル・ゲイツは「なぜ人々が人工知能の恐怖について考えないのか理解できない」ですね。
ホーキングは「コンピューターウィルスを発明する人間がいるなら、自らを改良・複製するAIを発明する人間がいるはずだ」なんてことも言ってます。
『クール・ジャパン!?』(講談社新書)に書きましたが、そもそも、欧米のカソリック系の人達は、「人間が人間型のロボットを創ること」に対して抵抗があります。人間を創るのは神だけだからです。動物型のロボットは容易に創れても、人間形になるとためらいます。AIへの抵抗は、その延長線上にあるのです。
そもそも、囲碁や将棋、チェスのAIなんかは、「特化型人工知能」と呼ばれています。特定の分野に特化しているわけですね。これは欧米人にも抵抗が少ない分野です。
AI囲碁が人間に勝ったと話題になりました。この時のソフトは、実際の囲碁の棋譜をデータ入力したものでした。過去の名人の戦い方が元になったわけです。最近では、AIが囲碁のルールを理解し、独自に進化することで人間に勝つソフトになりました。人間がまったく必要なくなったのです。すごいもんです。

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