「AIに仕事を奪われる」はちっぽけな考え。大喜利AIの開発者が考える未来
人工知能(AI)の進化によって仕事を奪われる――。そんな話を聞いたことがある人も多いだろう。すでに、「ロボットが接客する世界初のホテル」や「ドバイ警察がロボコップを正式採用」など象徴的な事例はあるが、我々の職場にも「AI化」は日々忍び寄っているのだ。
お題や写真を送ると、AIが即座にボケを返してくれる。そんな人工知能「大喜利β」で世界に挑んでいるのが、「株式会社わたしは」の竹之内大輔氏だ。しかし、なぜ大喜利?
「人が親しみをもって使ってくれて、使うほどにデータが蓄積され、利用者の体験もリッチになっていく。そうやって雪だるま式に成長するサービスなら、グーグルの先を行くこともできると思った。ユーモアを含んだコミュニケーションができるAIをと考え、たどり着いたのが大喜利でした」
竹之内氏が考えるAIは、人の仕事を奪うものでも、単に補助するものでもない。人に刺激を与え、体験を拡張することで生活を楽しくするものだ。
「自動運転車にしても、日本のメーカーのように“安全”だけを目指してる時点で負け。車内で自由に商談ができる、高級ホテルのようにリッチな時間を過ごせるなど、“新しい体験”をデザインした企業の勝ちなんです」
AIが発達すれば、人間の仕事は「突き詰めれば、意思決定の部分だけになる」と竹之内氏は予測する。
「ムダな営業も、パワポの資料作成も不要。『コミュニケーションは人間だからこそできる』と考えがちだけど、我々はコミュニケーションによりムダなコストを生み出している場合も多々ある。いっそコミュニケーションもAIに置き換えれば、生産性はさらに上がって自由な時間が使えるはず」
しかし、そんなにヒマになっても困るのでは……?
「自由な時間が増えるほど、人間はいくらでも別のムダなことを始める生き物。AI同士のやりとりをコンテンツとして楽しめるようにだってなるかもしれない。AIは何かの“代替品”ではなく、もっと大きく世の中を変えるもの。その発想を持てば、“仕事を取られる!”なんてちっぽけな考えにとらわれることもなくなりますよ」
【竹之内大輔氏】
株式会社わたしは。「人を笑わせるAI」と、それを使ったチャットボットサービスを開発。人のアシスタントではなくパートナーとなるAIの開発が目標
取材・文/江沢 洋 生田 敦 古澤誠一郎 アンケート協力/エコンテ
― AI時代に[生き残る人・消える人]の境界線 ―
大喜利AIの開発者が語る「AIの未来」
ハッシュタグ