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モテることに慣れていない男ほど、極端なセックスにハマりやすい【鈴木涼美】

 従来、「性についての分断」といえば、「セックスレス」か「やりまくり」の2分類というのが相場であった。しかし、ここ最近はさらに細分化しつつあり、「やりまくり」の中でも二極分化が激しくなり、男性全体で言えばセックスの価値観は多極化している。では、このセックス観とはどのように決まっていくのだろうか?
鈴木涼美氏

鈴木涼美氏

「男性のセックス観を決めるのは、女性の面倒くささを愛せるかどうかです」と分析するのは、作家の鈴木涼美氏。 「女性は、自分は体目当ての女なのではと悩む一方で、セックス対象として見られないことにも不安を感じてしまうアンビバレンツな感情を常に抱いています。セックスが自信に直結しやすい男性とは違い、複雑な面倒くささがある生き物。この面倒くささに対して耐性だけ身につけた男性と、耐性だけでなく魅力まで感じられた男性とでは大きな差があるのではないのでしょうか?」  また、男女間のとある差異が異性のセックス分断化をより極端なものにしていると指摘する。 「女性はある日突然“非モテ”が“モテ”に転じることが少ない。半面、男性は進学や就職によって突然“モテ”のステージに上がってしまうことが起こり得ます」  するとどうなるか? 生まれながらにモテていたり、努力によって得た“モテ”ならば身の丈に合った性嗜好に落ち着きやすい。しかし、モテることに慣れていない人ほど、極端なセックスにハマりやすいという。 「女性の側もエリートヤリチンなどにセフレにされたりしても、悲劇のヒロイン的に楽しむ女子のオナニー的文化があり、需要と供給のマッチングがないわけではありません。振り切れたセックス観でもニーズが合えばいいでしょう。ただ、人間として正しいのは、避妊せずに射精して、デキ婚して子育てに入るマイルドセックスヤンキーかもしれませんね」 【鈴木涼美氏】 作家。’83年、東京都生まれ。慶應義塾大学、東京大学大学院卒業。元AV女優、元日経記者。現在は執筆業を中心に活動。著書に『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』(幻冬舎)など。過去に日刊SPA!にて、「おじさんメモリアル」連載 取材・文/加藤純平(ミドルマン) 建部 博 六原ちず(中野エディット) 鈴木俊之(本誌) 撮影/長谷英史 イラスト/デザイア恵利 ― セックス右翼とセックス左翼 ―
おじさんメモリアル

著者が出会った哀しき男たちの欲望とニッポンの20年

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