更新日:2012年01月18日 20:38
デジタル

ステマを見抜く「ステログ」登場! 風評被害の懸念も

ステマ騒動が止まらない。ステマとは、ステルスマーケティングの略で消費者に宣伝広告であることを隠して広報活動を行うことである。ユーザーからの口コミ投稿により飲食店を評価するサイト『食べログ』の評価を不正に操作する“やらせ業者”の存在が発覚したことを発端に、大手まとめブログ『はちま起稿』管理人がステマ疑惑で管理人を辞任するなど、しばらくステマ騒動が続きそうだ。
ステログ

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問題が大きくなっていく中、食べログの評価が“やらせ”かどうか判定するWebサイト『ステログ』が登場した。やらせ業者は、5段階評価の5を付け好意的なコメントを投稿する。つまり、やらせ業者が入っている飲食店の評価は5が不自然に多くなってくるのだ。そこで、ステログでは、下記のアルゴリズムで“やらせ”を自動で判定している。(2012年1月18日15時 時点) ・4.0~5.0といった高評価をつけたユーザーのうち、レビュー投稿数が少ない人の割合が60%以上でヤラセの可能性があると判断 ・レビュー投稿が15件ないものは判断不可に このアルゴリズムでは、もちろん100%“やらせ”であるか判断はできない。サービス公開直後は5件のレビュー投稿数でも「ヤラセかな?」といった判定が出ていた。これは健全な利用をしている飲食店への、風評被害を招くおそれが高い。大丈夫なのだろうか? 『ソーシャルメディア実践の書』の著者でITジャーナリスト大元隆志氏に話を聞いた。 大元 「ステログをつくったクレイジーワークスの村上さんは、『ネットの噂は3日』と普段から言っており、今回も彼をよく知る人は『いつものノリだな』といった反応でした。今後、このサイトがどうなるかは分かりませんが、ステマ騒動に対して俊敏に反応し、一石を投じたことは評価できます」 ――風評被害を招きかねないアルゴリズムですが 大元 「現状ではそうですね。より意義のあるサイトになってほしいと思っているので、判定結果に対してFacebookの『いいね!』やコメント機能を使い、人力でより正しい結果を導く仕様などを村上さんに提案していきます」 ――ステマを見抜けるサービスになりそうですか? 大元 「それは難しいと思います。今後もステマを見抜く類似サービスも出てくると思いますが、結局はイタチごっこ。ステログや食べログのアルゴリズムに対応した、より慎重な“やらせ業者”が横行するでしょう」 ――消費者は口コミサイトをどう利用すればよいでしょうか? 大元 「批判的読解力が必要になるでしょう。批判的読解力とは、情報を鵜呑みせず、一度情報を批判的に判断する情報の読み方です。具体的には情報の発信源、発信者のバックグラウンドを一度自分で考えてから理解するということです。また、ネット上には自浄作用もあります。私は新製品の評判を調べる際に、2ちゃんねるも参考にしています。匿名だからこその本音の意見があり、自浄作用が働き、役立つ意見や情報は自然と引用され、“やらせ”的な意見は淘汰されていきます。消費者のリテラシーが向上すれば、自然とネットの自浄作用も強くなっていくでしょう」 なお、風評被害だけでなく、企業の広報活動の萎縮なども懸念されている。「ステルスマーケティング」。今までもあった用語だったが、ソーシャルメディアの普及とともに、このタイミングで問題となったのは、よいタイミングだったのかもしれない。消費者にとって、企業にとって、よりよい広報環境となってもらいたい。 ◆参考リンク ステログ http://crazyworks.jp/stlg/) ◆大元隆志(おおもと たかし) 翔泳社EnteprizeZine、ITイニシアティブ、ITmediaオルタナティブブログ等、様々なIT系メディアで活躍するITジャーナリスト。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。 https://www.facebook.com/assioma.co.jp 取材・文/林健太
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