更新日:2017年11月10日 22:53
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プロレスラーと結婚とフツーの幸せ――フミ斎藤のプロレス読本#021【ロード・ウォリアーズ編6】

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プロレスラーと結婚とフツーの幸せ――フミ斎藤のプロレス読本#021【ロード・ウォリアーズ編6】

ホークは地元ミネアポリスのガールフレンドと結婚したが、ワイフの不倫が原因でわずか3年で離婚してしまった(Photo Credit:Fumi Saito)

 やっと終わった離婚の裁判で、ホークはプール付きの豪邸からサイクリング自転車まで、持っていたもののほとんどを前夫人にあげてしまった。  ホークは、それからしばらくしてガールフレンドをつくった。25歳、2児の母、未婚というかなりのツワ者だったが、この彼女とはすぐ別れた。  またしばらくして立ち直ったホークは、さかんに男の友だちとお酒を飲みにいく機会をつくった。そして、恋人がいなくても、楽しくハッピーに生活できるようになっていった。  前夫人は「アンタには友だちって呼べる友だちがひとりだっているの? アンタが友だちと思ってる人たちは、ロード・ウォリアーズのホークと知り合いだってことを自慢したい連中ばかりなのよ。アンタが死んだとき、ほんとうに悲しんでくれる人なんていると思う?」とホークをののしった。  ホークもいろいろな罵詈雑言で反撃したけれど、「アンタには友だちって呼べる人がひとりだっているの?」という前夫人のコトバがずっと耳の奥のほうに残っている。  ホークとくらべると、相棒のアニマルはすべての面でわりと要領がいい。ハイスクールを出てすぐに1回めの結婚をして、長男が誕生したあとに離婚。  ロード・ウォリアーズに変身してから3年後に再婚したのちに長男の養育費を手にし、ふたりめの夫人とのあいだにできた長女、次男と親子5人で仲よく暮らしている。そして、たまにガールフレンドもつくっちゃうのである。  アニマルの弟ジョニー・エースは、学生時代から交際していたガールフレンドと結婚した。プロレスラーになるずっとまえからの付き合いだから、家ではいっさい仕事のはなしをしないし、奥さんのほうもエースがいつから日本に行って、何週間くらいいなくて、いつ家に帰ってくるのかということ以外、なにも聞かない。
斎藤文彦

斎藤文彦

 おそらく、エースは自分の容姿に無頓着なところがあるのだろう。だから、ツアー中のありとあらゆる誘惑は、ジョン・ローリナイティスの目には奇異なものに映る。エースがどことなくプロレスラーらしくないのは、彼がフツーすぎるくらいフツーの結婚をしているからだろう。  けっきょく、フツーの幸せをフツーにつかむことがいちばんむずかしいのかもしれない。(つづく) ※文中敬称略 ※この連載は月~金で毎日更新されます 文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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