夢見る少女を狙った“悪徳”芸能事務所が増えている――佐藤大和弁護士が警鐘
「先日コスプレモデルの撮影と偽って少女を募集し、AVまがいの動画に出演させた事件が起こりました。いま、アイドルや芸能人と一般人の区別が曖昧になっており、そこを狙った悪徳ビジネスが増えているんです」
こう指摘するのは弁護士の佐藤大和氏(レイ法律事務所、東京弁護士会所属)。今年5月に芸能人の権利を守る「日本エンターテイナーライツ協会」を設立した共同代表理事のひとりである。佐藤氏は、タレントの権利関係はもちろん、芸能界の陰に潜む様々な問題にも切り込んでいきたいと意気込む。
これまでも多くの夢見る少女たちが悪徳事務所によって搾取されてきた。しかし、その大半が10代から20代前半……充分な知識もないまま、泣き寝入りするしかなかった現実がある。今回は、実際に佐藤氏のもとに寄せられた相談や事例などを交えつつ、どうするべきか話を伺った。
佐藤氏は弁護士として、5月26日に元KAT-TUNの田中聖氏の逮捕に対する声明文を出したことでも話題となった。現在、「日本エンターテイナーライツ協会」の認知が思っていた以上に広がっている状態に戸惑いながらも、責任の重大性を感じているのだという。
「協会の趣旨は、芸能人の権利を守ることです。とはいえ、たんに芸能事務所と喧嘩しようというのではなく、事務所と芸能人の懸け橋になることが目的です。両者のトラブルは様々ですが、一方的に事務所側が悪いとは思っておらず、芸能人側の法律知識の欠如が原因となっていることも多いんです」
そのため協会では、芸能人に法律の知識を提供することを目的としている。
では、芸能人側と事務所側の間に起こる問題としてどのようなものがあるのか。佐藤氏は、“入口”と“中間”と“出口”の3つに分類できるのだという。
「入口は、事務所に所属するときの契約。書類の内容がよくわからないまま契約している人がほとんど。それゆえに、トラブルとなるケースも多い。中間は、移籍トラブル。パワハラやセクハラなどが原因となっていることもあります。そして出口では、引退やセカンドキャリアの問題」
現在、地下アイドルやコスプレモデルの一大ブームをはじめ、大小様々な芸能事務所が立ち上がっており、“芸能人”の敷居が下がりつつある。華やかな世界に憧れる若者たちは絶えない。そこで佐藤氏が問題視するのは、“入口”だ。
「いま、アイドルや芸能人と一般人の区別が曖昧になっており、そこを狙った悪徳ビジネスが増えているんです」
有名タレントやモデルなどがデビューするキッカケとして、渋谷や原宿、新宿などの路上で事務所からスカウトされた、というエピソードは珍しくない。しかし、佐藤氏は都心に限らず、郊外の繁華街に至るまで横行している“スカウト詐欺”に警鐘を鳴らす。
「街でスカウトした後、『これをすれば芸能人として売れるようになりますよ』と高額な美顔器を買わせたり、提携する怪しいエステやネイルサロンに行かせる。もちろん、彼女たちにそんなお金はありません。しかし、彼女たちはデビューさせてもらえるものだと思い込み、なんとかして支払ってしまう。その後、お金を手にした事務所等が逃げることもあるのです。被害に遭った人たちは100人、200人以上いますよ」

芸能界の闇にも切り込む「日本エンターテイナーライツ協会」

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