入ったら後悔する「高齢者住宅」。安さがウリの施設は要注意
終の棲家〈ついのすみか〉を選ぶうえで、頭を悩ませるのが「終わりがわからない」ということ。当たり前の話だが、自分が何歳まで生きるのかを事前に知ることはできない。だからこそ、一部の富裕層を除く大多数の人が、「果たして本当にこの貯蓄と年金で、安心かつ快適に最期まで暮らせるのだろうか」と悩むのだ。
そんな人たちの切なる悩みにつけこむかのように、少なくない住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が、大々的に“安さ”を謳っている。しかし、〈タダより高いものはない〉とは世の常で、安さの裏にはワケがある。高齢者住宅の経営コンサルタントで、『「老人ホーム大倒産時代」の備え方 高齢者住宅を正しく見極める』を上梓した濱田孝一氏は、次のように指摘する。
「安さを謳い文句にする高齢者住宅の内、少なくない数の事業者が『囲い込み』という貧困ビジネスをしている疑いがあります。簡単にいうと、本来はもっと徴収すべき家賃や食費を抑えることで入居者を集め、併設する訪問介護や通所介護を限度額いっぱいまで利用させることによって、利益を出すという仕組みです」
濱田氏は、この囲い込みを賃貸マンションにたとえ、このように表現している。
〈買い物はすべてマンションオーナーが持っているコンビニでしかできない。しかも、使える範囲の金額まで強制的に買い物させられる〉
法律上、完全にクロというわけではない。しかし、こうした囲い込みをするような高齢者住宅に入居すると、絶対に後悔することになると濱田氏は話す。
「『囲い込み』というのは、介護保険制度の不備、すなわち特定施設入居者生活介護と区分支給限度額方式の制度の違いに目をつけたものです。このような囲い込みで最もしわ寄せがくるのは、現場スタッフ。現場スタッフたちは、『こんなことをしていていいのだろうか』と精神的に追い込まれていきます。その結果、モチベーションが著しく低下したり、退職したりしていきます」
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