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若者の間で“便所サンダル”が流行している理由「これがオシャレなんだよ!」

 また、シャワーサンダルは、ルイ・ヴィトンやヴェルサーチなどのハイブランドでも展開されているらしい。もちろん、お値段は数万円だが……。
ピープルフットウェア

<People Footwear “THE LENNON SLIDE”>※写真はpeoplefootwear.comより

 吉田氏からは「アウトドアやフェスなどに履いていく人が増えている」という言葉が見受けられた。そこで、『GO OUT』などのアウトドアファッション雑誌で活動するライター金井幸男氏にもその背景を聞いてみた。 「テバやチャコに代表される、複数のストラップによって足とソールをしっかりフィット&ホールドさせる“スポーツサンダル”が、長年アウトドアフリークの定番だった。おじさん世代のなかには、’90年代にミックスソックスと合わせるのが流行ったのを覚えている人も多いのでは」
スポーツサンダル

スポーツサンダル(編集部私物)

 金井氏は「いまアウトドアフリークの定番がスポーツサンダルから便所サンダルにシフトしつつある」のだという。その理由をこう分析する。 「ここ数年での90’sカルチャーのリバイバルと昨今のアウトドアブームが重なり、去年あたりからスポーツサンダルのタウン化(街でも履くこと)が進行しました。たしかに、気楽なうえに履き心地まで良い優秀なモデルですが、着脱のたびにストラップを操作するのが面倒。しかも、サンダルにしてはハイプライスときています。そこで浮上したのが“便所サンダル”なのかもしれません」  とはいえ、便所サンダル以外にも選択肢はあったはずだ。どういうことなのか。 「ビーチサンダルよりフィット感やクッション性に優れ、足入れだってラクラク。なによりスポーツサンダル=アウトドア・フェス、ビーチサンダル=サーフィンみたいな主張がない。ノンポリシーな存在だからこそ、キメ過ぎを防ぐ“ハズし”としてダイレクトに効くわけです。現代のファッションキッズはラグジュアリーブランドとスポーツウェアをミックスするような、極端で、ある種あざとい『別にカッコつけてないし』的なスタイルを好みます。決してデザイン性に優れているとは言えない便所サンダルは、彼らにとって“狙ってない感”や“日常感”を醸し出す、絶好のアイテムなのでしょう」

今年の夏はおじさんの足元が輝けるチャンス!?

 ファッション関係者への取材で、トレンドに至るまでの背景が見えてきた。もう便所サンダルと侮るなかれ。  現在は様々なブランドからカラバリ豊富に展開されているらしい。裏を返せば、それだけニーズがあるということだ。オシャレなタイプはもちろん、SNS上では「リアルな便所サンダルを愛用している」という声まで見られたが(笑)。  特筆すべきは、なんといっても価格帯だ。いわゆる便所サンダルは1000円以下。ナイキやアディダスのシャワーサンダルでも3000円程度で購入可能である。なんとかお小遣いからも捻出できそう。  今年の夏は、普段のなにげないおじさんコーデが若者たちにも輝いて見える……かも!? <取材・文/藤井敦年>
明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスで様々な雑誌や書籍・ムック本・Webメディアの現場を踏み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者として活動中。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。趣味はカメラ。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
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