Uを通過してメジャーリーグのベンチに座ったオブライト――フミ斎藤のプロレス読本#045【全日本ガイジン編エピソード14】
ミスター・ババにとって、プロレスラーのキャリア、レスリング・ビジネスにおけるキャリアがどのレベルにあるかは、その選手が旅をしてきた時間で決まるらしい。“ジャイアント馬場Giant Baba”は36年も旅をつづけてきた。
スーツケースづくりはツアー生活のベーシックのなかのベーシック。移動を苦にしないこと。どこででも規則正しい生活がおくれること。自己管理のできるプロフェッショナルであること。どんなに疲れていても、つねにベストファイトを心がけること。
オブライトの目には、オールジャパンのジャージの上下がベースボール・チームのユニフォームのように映っている。
Uインターのボーイズもたしかにおそろいのジャージを着ていたけれど、オブライト自身がそのチームの一員なのかどうかという部分には最後の最後まで自信を持つことができなかった。リングに上がってしまえば、あとは試合をするだけなのに、いつもどこかに不安がつきまとっていた。
オールジャパンのベンチには、メジャーリーガーたちがどかんと腰を下ろしている。ハンセンは“不動の4番バッター”の貫禄で遅れてきたルーキーをあたたかく迎え入れてくれた。
Uのリングではものすごく長く感じた“3分間”がこのリングでは一瞬にしかならない。1試合のうちに“打席”は3回も4回もまわってくる。
“打撃コーチ”のハンセンは、バッターボックスに立ったときの構えから教えてくれた。オブライトは、いまやっとホームラン・バッターの卵になった。(つづく)
※文中敬称略
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ1
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