「サークル内交際⇒卒業後結婚」は“神”扱い。80年代テニサー論
男子の目的はもちろん、スコート姿でピチピチの太ももをさらけ出しながら、コート内を飛び跳ねる女子大生。一方の女子側も「いろんなデートスポットにクルマで連れていってくれる爽やかな先輩」狙いだったのはいうまでもない。もちろん、昨今のテニサーではよく見かけるTシャツ・スエットなんてコーデは論外! 男女ともがお揃いのサークルジャンパーをアウターに、単なる練習のときですら「タッキーニ」や「エレッセ」や「フィラ」といった人気ブランドのマークが胸についたテニスウェアでフル武装していた。本来は“副産物”でしかないはずの、まるでテニスシーン抜きの『エースをねらえ』のようにプラトニックでスクエアな「サークル内恋愛」へと、学生生活大半の熱量を脳天気に注いでいたのだ(ヤルことはきちんとヤッていたんだが)。
強引な理由づけで頻繁に開催されるパーティに、夏のテニス合宿&たまにサーフィン、冬はスキーほか諸々、イベントも盛りだくさん。そこで誕生したカップルはサークル内で羨望の眼差しをほしいままとし、卒業後に結婚まで至った日には「神」扱い。そして、誰もがそのささやかなゴールを目指し、資金繰りのために授業をサボってバイト三昧の日々を過ごしていた。「学生の本分」を問われてしまえば元も子もないが、そんなつかみどころのない「広く浅く」のグローバリズムを信条とするテニスサークルにのめり込み、とりとめのない充実に忙殺されていたのが、バブル前夜に生きた大学生のスタンダードであった。
ただ、就活で「テニスサークル所属」という経歴がなんの役にも立たなかったのは、いくら好景気とはいえ、昔も同様だった気がする(笑)。
文/山田ゴメス大阪府生まれ。年齢非公開。関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッション・学年誌・音楽&美術評論・人工衛星・AI、さらには漫画原作…まで、記名・無記名、紙・ネットを問わず、偏った幅広さを持ち味としながら、草野球をこよなく愛し、年間80試合以上に出場するライター兼コラムニスト&イラストレーターであり、「ネットニュースパトローラー(NNP)」の肩書きも併せ持つ。『「モテ」と「非モテ」の脳科学~おじさんの恋はなぜ報われないのか~』(ワニブックスPLUS新書)ほか、著書は覆面のものを含めると50冊を超える。保有資格は「HSP(ハイリー・センシテブ・パーソンズ)カウンセラー」「温泉マイスター」「合コンマスター」など
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