旧友ポールとECファッキンW――フミ斎藤のプロレス読本#074【WWEバンバン・ビガロ編エピソード9】
プロレスというジャンル、プロレスラーの代表のつもりで“怪人”キモと闘って負けてしまったビガロは、しばらくのあいだプロレスを休もうと考え、アズベリーパークの自宅でのんびり過ごすことにした。
ECWのハウスショーがアズベリーパークにやって来た。団体オーナーでエグゼクティブ・プロデューサーのポール・Eことポール・ヘイメンはプロレスラーになるまえからの友だちだから、ECファッキンWの試合を観てみるのもいいかなと思って、なんの連絡もせずにアリーナに足を運んでみることにした。
旧友との再会を喜んだポールは、ビガロに「週2000ドルしか払えないけど、ここで試合をしてくれないか」ときわめて現実的な金額でブッキングのオファーを出した。
ドレッシングルームにいたボーイズは、いきなりそこに現れたビガロを羨望とリスペクトのまなざしで迎えてくれた。
「ここはクラブ・チームだな。おもしれえかもしれない」
ビガロが「試合をするのはいいけど、ロング・ドライブはしたくない」とポールに伝えると、その翌週から若い選手たちがまるで順番を争うようにして大きなバンで家のまえにやって来るようになり、試合会場までの送り迎えをしてくれるようになった。
タズからECW・TV王座を奪って、それから売り出し中のロブ・ヴァン・ダムにそのベルトを明け渡した。ビガロはRVDとの試合を「オレの生涯のベストマッチMy best fucking match」とうれしそうに語った。
ECWで試合をつづけていたら、WCWから年俸45万ドルで3年契約のオファーが舞い込んできた。イニシャル・プログラムはゴールドバークとのシングルマッチだった。(つづく)
※文中敬称略
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ1
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