雑学

「自衛隊は衣食住がタダだからお金が貯まる」はウソだった!?

「自衛隊ができない30のこと 15」


「自衛隊は衣食住がタダだから、給料はイマイチでもその分考えると実入りはいいよ」。隊員募集の時によく使われるというこの言葉、どこかで聞いたことありませんか? 今回は「本当に衣食住はタダなのか」について、検証してみました。

 自衛隊の給料(俸給)の仕組みがどんなふうにできたのかがわかる国会質問記録(昭和45年~48年のもの)が残っています。昭和45年064国会の記録では、公安(二)職(検察庁,公安調査庁,少年院,海上保安庁等に勤務する職員)の俸給に超過勤務手当相当額21.5時間分を先に加算して、地域手当を入れ、そこから食費と医療費と営舎経費を削って作られたのが自衛官の給料の元となる俸給表であると回答されています。

oga1501 要約すると自衛官の俸給は「(加算分)公安(二)職の俸給に超過勤務相当額を加算、地域手当を加算」「(減額分)食費、医療費、営舎経費を給料から減額」という前提で作られているので、自衛官の食費や医療費等はタダではないことになります。つまり、予め天引きされているということです。

 他の国家公務員の公安職などと比べて自衛官の給料が安いのは、給料の素案を考えた段階で、すでに食費、住居と営内経費(電気代や消耗品)及び医療費は減額された形で俸給に反映されているからです。「トイレットペーパー代も隊員持ちなのだが、それは営内経費を取られているのだから国で負担してやれないのか」という当時の質問が記録に残っています。40年以上前に提起されていたこんなにも些細な問題が、平成になってもなお是正されていないのが現実です。

 俸給表が固定し、その成立の経緯を知らない人も多くなったために、さも自衛官の食費や住居費が無料であるかのように言われ続けているのですが、前述のとおり最初に給料から天引きされているに等しいのでこの表現は正しくありません。

「糧食費は100%本人負担――本人の好みにかかわらず決まり切ったものを食わしておいて、全部本人の負担で引くというのはひどいじゃないですか」

 当時、質問に立った加藤陽三議員はこう言っていますが、私もそう思うのです。なぜ他の公安職と比べて給料が安いのかというと、最初からいろいろ引かれているからだということは知っておくべきです。衣食住のうち、まず「食・住」はタダではないことがおわかりいただけたと思います。

 さらに「衣」です。これも全部国から支給されると考えている人が多いと思いますが、確かに官品と呼ばれる一式は支給されます。しかし、洗い替え分については隊員の自腹で買わなければならないのです。

陸上自衛隊

陸上自衛隊HPより

 東日本大震災の災害派遣後、泥水の中で必死の救助活動をしたために、陸上自衛隊は迷彩服の在庫を使い果たしました。しかし、自衛隊には余分の在庫などもてる予算がありません。在庫がないなら買えばいいじゃないかと思いますが、予算がないので買えません。その当時は、新入隊員でも中古のもので我慢してもらっていました。震災から時間が経ち、少しはマシになったとは思いますが、戦場で迷彩服が泥だらけになったり破れたりする事態になった時、自衛隊は軍として同じ軍服を常にそろえることができるのでしょうか? 本当に心配です。「衣」も十分じゃないのです。

 演習場などで使うマガジンポーチなどは隊員が自腹で買わなければ支給は乏しいようですし、制服の名札、名刺などもすべて自腹です。本来国が出すべきものなのに、国家公務員の中でも、経費を事前に差っ引かれ、給与水準を低くされている自衛官が負担するのはひどい話です。それで「衣」が無料と言えるのでしょうか?

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自衛隊の「住」は?

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