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いつまでもアメリカに頼っていられない。自主防衛、自主独立だ/倉山満

アメリカで大統領は行政府の長にすぎずない

 火事は最初の5分間、選挙は最後の5分間。アメリカでも、この格言が通じたようだ。アメリカ中間選挙のことだ。
USA GOVERNMENT BIDEN

共和党の苦戦にトランプ前大統領が表情を険しくする一方で、ホワイトハウスで11月9日に行われた記者会見にて笑みをこぼしたバイデン大統領。内政でも“善戦”できるか? 写真/EPA=時事

 アメリカでは、4年に1度、大統領選挙が行われる。ただし、大統領は行政府の長にすぎず、日本やイギリスの首相のように、自分で法律を作ることはできない。法律とは、政治家がやりたいことの具体化。もしアメリカ大統領が法律を通したければ、議会で多数を得ていなければならない。大統領選挙が無い年に行われる議会の選挙を、中間選挙と呼ぶ。アメリカ議会は、上院と下院に分かれる。つまり、大統領は上下両院の選挙でも自派が多数を占めなければ、何もできないのだ。  上院議員は、全米50州から2人ずつ選ばれ、定数100。任期は6年で、2年ごとに3分の1ずつ改選。1つの州から同時に2人が改選されることはない。下院議員は、定数435。この定数を人口に応じて各州に配分する。2年ごとに一斉改選。  要するに、アメリカでは2年に1度、議会の選挙があり、その内、4年に1度が大統領選挙だ。

救世主が現れた。トランプ前大統領だ

 上院の主な権限は、軍事、外交、政府高官の人事、連邦最高裁判事や中央銀行(FRB)の人事など。  下院の主な権限は予算など内政だが、上院の掣肘(せいちゅう)を受けがちだ。  バイデン大統領は2年前の大統領選挙で勝つだけでなく、上下両院でも与党の民主党が多数を占めた。  しかし、この2年間のバイデンは頼りなかった。ウクライナ事変では失言を繰り返し、国防総省と国務省が一致して頭を抱える始末。内政においても、行き過ぎたインフレに無策無能を繰り返し、アメリカ人は生活苦にあえいでいた。  不人気のバイデン民主党の大敗は確実、野党の共和党がどんな勝ち方をするか、と思われていた。ところが、絶体絶命の民主党に、救世主が現れた。  ドナルド・トランプ前大統領だ。
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トランプ政権は、最初の2年は立派だった
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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