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中山大障害「前・王者か! 現・王者か!」 J・G1初実況の若手アナウンサーが放った名フレーズ

 有馬記念もキタサンブラック優勝と大いに盛り上がったが、有馬記念前日に、それ以上と言っても過言ではない名勝負が繰り広げられた。一般の人にはあまり知られていないそのレース、J・G1中山大障害だ。前日発売の開始直後に、王者・オジュウチョウサンの単勝に1000万円を購入した強者が現れ、オジュウチョウサン以外の単勝オッズが一時的に単勝999.9倍以上の表示に。入場者数も4万1655人、レースの売り上げも22億円超えと、どちらも例年より4割以上アップするほど注目されたワケは、J・G1を3連覇し、1999年の障害グレード制導入後初の4連覇を目指していたオジュウチョウサンの人気に他ならない。  この大舞台の裏では、中山大障害を担当し続けた名物アナからバトンを受け取った、ある若手アナウンサーによる“G1デビュー”の奮闘劇があったことは、コアな競馬ファンでも知る人ぞ知る出来事だった。G1実況デビューを飾ったラジオNIKKEIアナウンサー・山本直氏を直撃した。
山本直アナウンサー

ラジオNIKKEI・山本直アナウンサー

経営判断として『え? いいの、僕で……』って思いました

――障害のG1といえば、山本直也アナウンサーがずっと務めていました。 山本:そうですね。5年くらい山本直也アナが連続で担当されてました。僕の名前は山本直なので、ファンの間でも『あれ? 誤植?』なんて声もありましたね(苦笑) ――初G1実況が決まったとき、自身はどう思われましたか? 山本:G1の実況はいずれ担当することになるとしても、まだ今年じゃないだろうなって思っていましたから、え? 今年ですか?って(笑)。まだそこまでではないと思っていましたし、感覚としては『今年はいくつG1レースを現地で見られるかな』くらいの感じでしたからね。完全にファンの気分ですよG1に関しては。 ――競馬において、G1実況はどういう位置づけなのでしょうか? 山本:ステップを踏んでいく中での一番てっぺんでしょうね。実況のアナウンサーって、実況だけじゃなくてリポートしたり、レースとレースの間の番組の司会やったりもするんですよ。まずはそこからスタートで、経験を積んで認められると『じゃあ来年の1月から朝イチのレースで実況ね』くらいから始まって『そろそろ午後のレースもやっていいよ』となり、『じゃあ重賞やって』となるわけです。その先にあるのがG1ですね。実況アナウンサーのステップとしては最終段階かなと感じています。 ――偉大な名物アナからバトンを受け渡されたわけですが、緊張とかありましたか? 山本:ずっと大障害の実況をされていた山本直也さんは競馬界、それも障害レース界の名物アナとしてものすごい有名なんですよ。山本直也さんの実況で『踏み切って、ジャンプ!』という名フレーズがあるんですが、このフレーズのTシャツを出すくらい有名。しかもこのTシャツ、売れてるんですよ。だから、経営判断として『え? いいの、僕で……』って。それにこの『踏み切って、ジャンプ!』に対するフレーズを僕が言うんじゃないかって、やっぱり皆さん感じちゃいますよね。正直、僕がこのレースやるのか!?っていう気持ちはありました。 ――普段以上に注目度が高い状態だったわけですが、レース前では周りからは気を遣われる状況だったんでしょうか 山本:それが全然なかったんですよ(笑)。少なくとも会社の中ではなかったです。社外の人は『がんばってね』って言ってくれたりしましたけど。 ――先輩からアドバイスとかも…… 山本:ないですね。むしろあの週の開催は有馬記念があったので、ものすごく忙しかった。競馬班としては、土日の番組を円滑に終わらせることがゴールですから。 ――1000万円購入事件での注目も集まっていたので、いろんなプレッシャーがあったと思うのですが…… 山本:すごかったですよね。前日から質の違う盛り上がりは感じていたんです。朝から人も多くて、8時くらいに競馬場に着いたのですが、開門前の時点で競馬場に向かう人の数が多くて『大障害ってこんなに多かったかな?』と。朝から空気が違うなって思いました。でも、自分が実況するから違うように見えるのか、本当に世間がいつもと違うのかまではわからなかったんですけどね。
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「あ、これはちょっと歴史に残るレースかも」
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