雑学

紛争時、自衛官の防衛出動手当はいくらもらえるのか? 13年経過も「えっとまだ決めてません」



 さらに大きな問題は、現実に領土が外国の軍隊の侵略を受けたり、日本の本土にミサイルが撃ち込まれたりした時の自衛隊の本気モード、「防衛出動」時の手当が未だに決まっていないということです。平成15年度の有事法制の議論の中で、「有事には防衛出動手当が支給される」と規定されたのですが、その後13年経過しているのに未だにその額が決まっていないのです。

 つまり、いざ有事となり防衛出動が出た際、紛争地に行く自衛官に防衛出動手当がいくら出るかもわからない状態で出撃命令が出るということです。第192国会で防衛省人事教育局長は維新の吉田豊史議員の質問に対して「防衛出動基本手当は、出動時の仕事の強度や勤務時間や勤務環境や危険性や困難性や特殊性を評価して決める」と答えていますが、それだけです。これどうなんでしょ?

「ともかく出撃しろ。後でその仕事についていろいろ評価して、いくら出すかはこっちで決めるわ」。こういう感じですよね。

 これまで、たとえば東日本大震災の時の東電福島原発の建屋への放水に自衛隊が派遣された時にも災害手当は支給されましたが、その額は1日1620円でした。細かいお金の話ばかりするのもどうかと思われるかもしれませんが、こういったことは現場の自衛官は不満があっても口に出して言わないものです。だからこそ、自衛官ではない私たちが真剣に考え、声を上げるべきことではないかと思っています。

 米軍でもっとも危険な任務にあたるネイビーシールズの隊員たちには3000万円を超える年収と、それ以外にも特別洋服代や住宅手当などで給与とは別に20万円近い収入があり、さらに各危険業務では例えば降下なら2万5000円、爆破なら2万5000円という具合に多額の手当が設定されています。軍人は誇りがなければやっていけない職業であり、それを支えるには洗練された身なりや住居が必要と米国人が考えているからこそ、ネイビーシールズに特別洋服代や住宅手当を支給するのです。米軍の中でも彼らは憧れの的であり、みんなができればネイビーシールズのような隊員になろうと考えるのです。

 防衛出動手当の金額すら未だに決められない日本国には、軍人に対するこうした敬意が欠けているのではないでしょうか。敬意を払わずして、当たり前のように命を懸けることを求める国。軍人はその祖国を守るべき価値のあるものだと心底感じられるでしょうか? 自衛官は特別な教育を受け、国に忠誠を誓った集団ではありますが、私たちはその崇高な意識に甘えて無理を強いてはいないか、いつまでも自分たちだけが安全なところで胡坐をかいていていいものだろうかと痛切に思うのです。<文/小笠原理恵>

国防ジャーナリスト。「自衛官守る会」顧問。関西外語大学卒業後、報道機関などでライターとして活動。キラキラ星のブログ(【月夜のぴよこ】)を主宰
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