義理チョコを渡すか決めるのは誰?自分の価値観で生きていこう<魂が燃えるビジネス>
―[魂が燃えるメモ/佐々木]―
いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるビジネス」とは何か? そのヒントをつづる連載第37回
先日、ゴディバが「日本は義理チョコをやめよう」という意見広告を出して話題になりました。バレンタインは純粋に気持ちを伝える日であって社内の人間関係を調整する日ではない。だから男性から「義理チョコ、無理しないで」と言ってあげてほしい。そんな内容です。
これに対しネットやメディアで賛否両論の声が上がりました。「その通り」と賛同する方がいる一方、『ブラックサンダー』で有名な有楽製菓は「日頃の感謝を伝えるきっかけとして義理チョコを応援する」とツイートしました。それぞれがそれぞれの主張と根拠を持って発言しています。
ちなみに私は義理チョコを渡すのも渡さないのも、その人次第だと思います。だからこそゴディバが「日本は」と意見を統一しようとする働きかけ方が気になりました。
義理チョコを渡す習慣は日本で生まれましたが、そもそも本命チョコを渡す習慣が日本で生まれています。もし「日本の習慣」を理由に否定するならば、義理チョコに限らず本命チョコも否定しなければなりません。しかし、広告の内容はそうではありません。つまりチョコを渡すかどうかは習慣ではなく、「渡すか渡さないか」という個人の意思で決める領分だということです。
私たちはすぐに正論を作り上げようとします。それはほとんど本能のようなものです。しかし、正論とは「論理的に妥当」や「筋が通っている」だけにすぎません。そして、そういった論理や筋の前には、まず立場があります。
自分が生まれ育った文化や習慣、身を置いている環境や人間関係。立場によって見える風景はまったく変わってきます。だからこそ、その風景から生まれる主張と根拠もまったく違ってきます。
正論は「自分の意見が正しいから、相手の意見は間違っている」ということまでは示しません。自分の見える風景について合理的に説明しただけで、相手も自分が見えている風景を合理的に説明しています。にもかかわらず私たちは少し気を抜くと、それで戦おうとします。
政治はその代表格です。左翼も右翼もそれぞれが自分たちの政策が正しいと考え、その正しさを証明するような証拠や証明を用意しています。そこまではいいのですが、「だからお前は間違っている」と喧嘩をふっかけるからややこしくなります。
政治は主張のうちどれか一つを選択しなくてはなりません。「消費税引き上げ」と「消費税据え置き」は同時に成立しないのだから、意見を戦わせるのも理解できます。しかし、義理チョコはそうではありません。渡したいと思えば渡せばいいし、渡したくなく人は渡さなければいい、その人の自由にできる余地があります。だからこそゴディバが「日本は」という大きなくくりで語ることに違和感を覚えました。
とはいえ、私の意見もまた「意見を統一しようとするな」という批判です。自分の視点から、誰かや何かを間違っていると言っているにすぎません。
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コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中
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