妻と娘が“問題の”K-POPグループのファン…被爆者の孫として悩む夫
― 連載「佐藤優のインテリジェンス人生相談」―
“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える!
★相談者★被爆三世(ペンネーム) 会社員 男性 41歳
ご相談したいのは2歳年下の内妻と連れ子の中1の娘のことです。内妻と娘は以前からK-POPが好きでときどきコンサートやイベントに行っていました。
先般、韓国の某グループが原爆犠牲者やホロコースト犠牲者を冒涜する騒動を起こしましたが、お恥ずかしいことに内妻と娘が最も好きなのが件のグループなのです。実は私の祖父母は長崎で被爆しております。
今回の件はさすがに被爆者の孫として、いや人間として我慢できなかったので内妻と娘に「こういう腐った連中のファンをやめなさい」と言いましたが聞く耳を持ちません。逆にグループを擁護する始末です。内妻と娘に初めて手を上げそうになりましたが何とか堪えました。内妻と娘にこのグループのファンをやめさせたいのですが、何かいい知恵はないでしょうか?
◆佐藤優の回答
私もこのK-POPアイドルグループの無礼なパフォーマンスに対しては、不快に思っています。しかし、彼らの行動は、現下韓国のナショナリズムの高揚の中で生じていることを忘れてはいけません。日本のファンの人たちは、政治問題には強い関心を持っていないと思います。ただ、このグループが好きなので、あなたが「ファンをやめろ」と言うことに対して、感情的に反発しているのだと思います。
あなたのパートナーと娘さんにとっては、このグループの音楽を聴き、パフォーマンスを見ることが、願望であり、欲求なのだと思います。精神科医の香山リカ氏は、人間の欲求と願望について、こんなことを述べています。
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私たちは毎日の生活の中で、「これがほしい」「あそこに行きたい」といろいろな欲求を持つ。しかし、あれこれとほしがりすぎることは「わがまま」と言われ、「がまんしなさい」と注意されることもある。
もちろん、手に入らないものを求めすぎるのはよくないが、「きのこ狩りや栗ひろいに行きたい」「紅葉を見てみたい」といった願望は、ときとして私たちを元気づけ、ちょっとした病気も吹き飛ばしてくれることがあるのだ。診察室でも「映画が見たいけど、この病気が治ってからですね」などと話す患者さんには、「いまならきっと行けます。行きたいときに出かけたほうがいいですよ」とすすめることがある。
願望や欲求ってぜいたくでもわがままでもない。生活を活気づけ、ときとして生きる目標にもなるのだ。(中略)さて、この季節、あなたが「したいこと」「食べたいもの」は何だろう。少しくらい「わがままな時」をすごしてほしいと思う。
(『大丈夫。人間だからいろいろあって』14~15頁)
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家族が“問題の”K-POPグループのファンです……
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’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数
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