都内の首都高がついに完成。公害問題、バブル崩壊を乗り越えた軌跡を振り返る
首都高研究家としては、特に小菅―堀切間と板橋―熊野町間の拡幅完成に感慨ひとしおだ。なにしろ18年前に出版した自著『首都高はなぜ渋滞するのか!?』以来、激しく拡幅を主張してきたボトルネック区間なので。その欠陥がついに改良されたのです! 関心ない人は気付きすらしないでしょうが、私は泣きました。まさか自分の提案が実現するとは。ドリームス・カム・トゥルー!!
効果のほうはというと、個人的な目分量では、それぞれの区間を先頭にした渋滞量が半分くらいに減りましたかね? なにしろ首都高なので渋滞消滅はムリだが、渋滞する時間が減り、渋滞しても通過速度がかなり速くなった。
これで6月に外環道千葉区間が開通し、2024年頃(たぶん)に外環道東京区間が完成すれば、首都高の渋滞は、バブル期の10分の1程度にまで減るだろう。かつての渋滞都市・東京が、世界に誇るスムーズな道路交通網を完成させることになる! なにせ欧米には、都心部に高速道路網を持つ大都市なんて存在しないので。
ただ、みなさんに理解していただきたいのは、これで都内の首都高の建設は終わりなので、これ以上「混んでるからなんとかしろ」と言っても、もう料金を上げるとか以外に方法がないってこと。加えて今後は、老朽化した区間の造り直し工事が本格的に始まる。これはこれで終わりのない戦いだ。
思えば、都内の地下鉄の建設も終了しておりますが、2020年の東京オリンピックを前にして、東京の交通網の整備はほぼ完了状態。ついにパリやロンドンのような成熟都市になりました。喜ぶべきことではあるが、一抹の寂しさもある。
最後にドライバーのみなさまに、首都高研究家からアドバイスを。
かつてに比べると、首都高の渋滞は劇的に改善された。ただ、時期や時間帯によっては相変わらず渋滞する。たとえば3月下旬(年度末)の平日夕方5時から夜7時あたりまでは、下り線を中心にほぼ全線が真っ赤に染まる。巨大都市・東京の都市高速網であるからそれは仕方ない。次に望まれるのは、混む時間の料金を高くする時間帯別料金制の導入だ。
ただ、混む時間帯さえ避ければ、現状すでに鉄道よりかなり速い。新宿―羽田空港間なんざ、たった30分なのだ(鉄道だと約45分)。首都高は賢く使いましょう!
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中 1
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