「給料下がって仕事は増えた…」トンデモ“働き方改革”に現場から悲鳴
もう一つ「働き方改革」の目玉になっているのが「副業が認められる」という制度で、一部の大手企業ではすでに自社社員に副業を奨励するような動きも出ているが、実際のところ「副業をする余裕などない」というのが現場の本音。
大手メーカーの総務担当・佐々木さん(仮名・51歳)は、趣味のコンピューターグラフィックで小遣いを得ようと考えていたが、それが甘い考えであることを思い知った。
「副業が可能になりましたが、働き方改革によって残業や休日出勤が厳しく制限されるようになりました。なので、ウィークデーでできなかった仕事はこっそり自宅に持ち帰ってやらざるを得ない。本当は仕事の持ち帰りもご法度なんですが、すでに暗黙の了解といった感じで、みな業務時間外労働が当たり前になっています。休日に副業どころか、趣味にも時間を使えなくなってしまった」(佐々木さん)
さらには、会社が副業を奨励しているにも関わらず、上司からは「副業のせいで本業が疎かになっていないか?」などとしつこく問いただされ、若い社員などは副業をやりたくても「そもそも言い出すことすらできない」状態になっているという。
さて、すでに本末転倒感が否めない「働き方改革」だが、これまで登場した3人、ひいては日本のすべての労働者が考えていることは、労働環境が改良されることや、副業ができるようになることでもない。何よりも「給料を上げろ」という単純な願望ではないか。
「給料さえもらえるなら、みんなガンガン働くし残業だってやります。現状は給与が安いし、残業しようが残業代も出ないから当然仕事の質も向上するわけがない。それを働き方改革などといってごまかし、今の給与のままで、もしくは下げてでも、もっと働け、もっとカネを生み出せとハッパをかける。こんな制度、早くつぶれてしまえと思います。労働者をいかに軽く、奴隷としてしか見ていないか、政府や大企業幹部の思惑が透けて見えますよ」(佐々木さん)
「改革」と言えば聞こえはいいが、国民はすでに「働き方改革」の欺瞞を見抜いているのかもしれない。<取材・文/山口準>
― 不満続出! “働き方改革”のリアル ―
新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。

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