北海道地震の大停電で強盗事件も…ブラックアウトの恐怖
なぜ、こうも無慈悲な災害が立て続けに起こるのか……? 台風21号が西日本を直撃した2日後の9月6日午前3時すぎ、北海道胆振地方を震源とするマグニチュード6.7の大地震が発生した。震源地にほど近い厚真町では震度7を記録。この揺れで町内の山々が数百メートルにわたって崩落し、多くの家屋が土砂に呑み込まれた。10日時点での道発表では死者は40人に達し、うち36人が厚真町の住民だ。
このように多数の犠牲者を出した背景には、台風の影響がある。日本列島を縦断するように北上した台風21号は、地震前日の5日に北海道を通過。大雨や強風で農作物や交通網に大打撃を与えると同時に、山間部の地盤を緩くしていたのだ。札幌市に住む40代の男性が話す。
「登ってみるとわかりますが、震源地近くの平野部にある山には大きな岩がありません。粒の細かい火山灰が堆積してできた柔らかい地質と言われているので、過去にも何度か大雨で土砂崩れを起こしている山もあるんです。ただ、今回ほど大規模な土砂災害は見たことがありません……」
大雨に次ぐ地震――2つの不幸が重なった格好だが、もう一つ想定外だったことがある。数多くの大地震や大噴火を予測してきた木村政昭・琉球大学名誉教授が話す。
「過去の北海道を襲った大きな地震を見ると、ほとんどの地震の震源地は海の中。それも、十勝沖や釧路沖に集中しています。千島海溝を境に2つのプレートが接しているのですが、十勝沖から釧路沖にかけて北米プレートの下に太平洋プレートが沈み込んでいるため、圧力が加わり、地震が発生しやすくなっているのです。
ところが、今回の地震はこれまでと異なり、内陸部が震源地。いまだ発生原因は明らかになっていませんが、震源地近くを南北に走る石狩低地東緑断層帯でズレが生じた可能性が高いと見ています。太平洋プレートからかかる圧力が、この断層帯で放出されたかたち。プレートの境目で起きる海溝型地震に比べて、このような内陸地震のエネルギーは小さめではありますが、都市直下型となって大きな被害をもたらす傾向にあるのです」
すでに繰り返し報じられているように、札幌市内では液状化現象が発生し、至るところで道路に亀裂や陥没が生じている。南西部・室蘭市の石油コンビナートでは火災も発生。都市直下型地震の爪痕は深く刻まれている。だが、被災者を恐怖に陥れたのは電力喪失という二次被害だった。サッカー日本代表の対チリ戦取材のため札幌に滞在していたスポーツライターの栗原正夫氏が話す。
「大きな揺れで目が覚めてから、すぐにテレビをつけましたが数十分後にテレビも明かりもバチンと消えて真っ暗に。その後、市内をクルマで流してみたら信号は消えているうえに、ガソリンスタンドやスーパーも大半が閉店休業。幸いなことに私は停電中も泊めてくれる宿を見つけられたのですが、私の知り合いは札幌中心部のホテルの予約をキャンセルされ、開放されていた札幌駅の地下通路で暗闇の中一晩過ごしたようです」
台風と地震のダブルパンチで土砂崩れが
今までと違う「内陸地震」で大きな被害に
明かりがバチンと消えて真っ暗に
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