台風被害が深刻な武蔵小杉のタワマン。資産価値下落は本当か?
先日、各地に大きな被害をもたらした台風19号。最も大きな爪痕が残った福島県を筆頭に連日報道が続いているが、首都圏では武蔵小杉のタワーマンションがいろんな意味で注目を集めたようだ。
不動産業界に身を置く筆者は以前、「武蔵小杉のタワマン購入は検討を要す」と記したことがあるが、改めて今回の状況を考察してみる。
現在も武蔵小杉では「台風の影響で停電や断水が続いている」との報道がある。
今回、武蔵小杉エリアには確かに水害はあった。
あれだけの雨水が流れ込めば、排水不良地域でなくとも一時的に水が停滞することは避けられず、低い部分から浸水していくのは極めて自然なこと。そこにあるマンションや店舗ではホールやエントランスが浸かってしまうし、地下空間があればもちろんそこが真っ先に沈んでいく。
一軒家であれば、駐車場はもちろん、玄関や居間まで水は昇ってきたであろう。戸建ての排水でも、周辺や前面の本下水が過剰に流れていれば、宅内側からの排水はなされず、最悪は溢れてしまうだろう。事実としてはそれだけだ。
違ったのは、ただその現場がタワーマンションだったということである。
販売価格からして所得や資産が一定水準を超えた層がほとんどを占め、また物理的にも高所であるがゆえに、下界を“見下ろす”=“見下(くだ)す”と受け取られがちな高層建築物、それがタワーマンションだ。
住人たちがスポーツジムやパーティールームといった贅沢な設備を利用しているという妄想は独り歩きしがちで、加えて、ここ10年ほど大規模な建築ラッシュが続くなかでも注目を集めたエリアであったゆえに、ここぞとばかりにネガティブワードが発信・拡散されたのだろう。
「停電時、エレベーターが使えなくなる」
「災害時、水も出なくなるしトイレも使えなくなる」
このようなことは賃貸でも購入でも、低層でも高層でも関係なく起こりうるリスクだ。
それを「タワマンだから」「やっぱり武蔵小杉は…」と叩くのは滑稽でしかないのだが、資産として物件を保有する場合に、全く無関係の第三者によって風評被害を受けて、その価値が目減りするリスクにさらされる状況は穏やかではない。
ネットを中心に「これで武蔵小杉の資産価値は下がった」との声があがっている。
だが、今回の件で武蔵小杉の資産価値は本当に下がるのだろうか?
資産価値をどう捉えるかにもよるのだが、その時期の売却価格という観点で見れば、台風19号に起因する一連の災害の影響を少しも受けないことはないだろう。新築時の販売価格は、土地を含めた建築費に宣伝広告費と利益を乗せるだけで決まるのに対し、値札・正価のない中古不動産の販売(売却)価格というのはやや特殊である。
周辺の成約事例を参照し、事例が少なければ類似物件から引用して査定価格が算出されるのだ。しかもこの査定額はあくまで計算ではじき出されたものに過ぎず、最終売却価格となることは稀であり、需要と供給の落ち着く地点、つまりは個別のやり取りを経て決まっていく。
今回被災した物件を査定した場合、恐らくは最初の時点である程度はマイナスを加味することが予想される。しかし大幅な値崩れは仲介業者の手数料の低下に直結するし、高額物件の宝庫である地域で、自ら周辺相場を崩すことは望まないであろうから、大幅なマイナス査定をするとは思えない。これが売り出す側のスタンスであろう。
一方、ネットにあがる情報の真偽はともかく、ネガティブなものに不安を抱くのが購入層の真理。そう考えると、多少なりマイナスに働くことは予想される。
だが売り出しに対して問い合せや反響のあった人たちが今回の件をつついてくることを見越して対応策を用意し、相場を底支えする力が働くのではないだろうか。
今回の災害で高まったのは、「武蔵小杉のタワーマンション」に対してではなく、単に「タワーマンション」という高額商品への負のイメージと不信感ではないか。
しかし繰り返しになるが、そのほとんどが想定されるものばかりであったし、停電への対策として非常用電源が用意されているタワーマンションも多数ある。
各設備が正常に作動したか、搭載設備で容量が足りたのかなどの課題は残るが、いずれにせよマンションの供給サイドは、弱点を克服した商品を作り、それを売り文句にして展開するだろうし、住人たちはこれを機に管理組合として管理会社と連携して何かしらの対策を打っていくことは間違いない。
だから、もしあなたがタワーマンションというものに魅力を抱いてるのであれば、決して幻滅せずに、今後の見直された物件の供給を待ってみてはいかがだろうか。或いは各種防災設備に注目して探しなおしてみるいい機会かもしれない。
タワマンゆえのネガティブワードが拡散
武蔵小杉の資産価値は下がるのか?
資産価値をどう捉えるかにもよるのだが、その時期の売却価格という観点で見れば、台風19号に起因する一連の災害の影響を少しも受けないことはないだろう。新築時の販売価格は、土地を含めた建築費に宣伝広告費と利益を乗せるだけで決まるのに対し、値札・正価のない中古不動産の販売(売却)価格というのはやや特殊である。
周辺の成約事例を参照し、事例が少なければ類似物件から引用して査定価格が算出されるのだ。しかもこの査定額はあくまで計算ではじき出されたものに過ぎず、最終売却価格となることは稀であり、需要と供給の落ち着く地点、つまりは個別のやり取りを経て決まっていく。
今回被災した物件を査定した場合、恐らくは最初の時点である程度はマイナスを加味することが予想される。しかし大幅な値崩れは仲介業者の手数料の低下に直結するし、高額物件の宝庫である地域で、自ら周辺相場を崩すことは望まないであろうから、大幅なマイナス査定をするとは思えない。これが売り出す側のスタンスであろう。
一方、ネットにあがる情報の真偽はともかく、ネガティブなものに不安を抱くのが購入層の真理。そう考えると、多少なりマイナスに働くことは予想される。
だが売り出しに対して問い合せや反響のあった人たちが今回の件をつついてくることを見越して対応策を用意し、相場を底支えする力が働くのではないだろうか。
今回の災害で高まったのは、「武蔵小杉のタワーマンション」に対してではなく、単に「タワーマンション」という高額商品への負のイメージと不信感ではないか。
しかし繰り返しになるが、そのほとんどが想定されるものばかりであったし、停電への対策として非常用電源が用意されているタワーマンションも多数ある。
各設備が正常に作動したか、搭載設備で容量が足りたのかなどの課題は残るが、いずれにせよマンションの供給サイドは、弱点を克服した商品を作り、それを売り文句にして展開するだろうし、住人たちはこれを機に管理組合として管理会社と連携して何かしらの対策を打っていくことは間違いない。
だから、もしあなたがタワーマンションというものに魅力を抱いてるのであれば、決して幻滅せずに、今後の見直された物件の供給を待ってみてはいかがだろうか。或いは各種防災設備に注目して探しなおしてみるいい機会かもしれない。
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タワマンに住む会社員。不動産業、マンション理事長の経験を元に主に不動産業界のテーマを執筆。年100回開催経験から合コンネタも扱うが、保護猫活動家の一面も持ち合わせている。
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