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地震直後に工場地帯で爆発!? 火災とは違う「フレアスタック」とは

地震発生後、「千葉方面で爆発」とネットで拡散

 2月13日23時8分ころ、宮城県と福島県で最大震度6強の地震が発生。週末の夜、かなりの強い揺れが広範囲で観測されたため、地震情報や被害ツイートなどがツイッターでも大きな話題となった。  同時に、「千葉方面で爆発が起きている」といった複数のツイートが、写真と共に拡散された。地震直後から東京湾岸の千葉方面で炎が上がり、空が赤く染まっていたのだ。いったい何が起きていたのか。金沢工業大学 バイオ・化学部 応用化学科の露本伊佐男教授に聞いた。
フレアスタック

地震直後、東京都中央区から千葉方面の工業地帯を見ると、炎が上がり、空が赤く染まっていた(編集部撮影)

「今回のものは火災や爆発ではなく『フレアスタック』と呼ばれるもので、製油所や石油コンビナートなどで出る余剰ガスを安全に燃焼させるために焼却するときに出る炎だったようです。実は工業地帯ではフレアスタックは珍しくなく、たとえば以前にも岡山倉敷市の水島コンビナートの工場の煙突から長時間にわたり巨大な火柱が上がり、地元では119番通報が相次いだことがありましたが、それも化学プラントからのフレアスタックでした」(露本教授)

フレアスタックとは?

 今回、千葉県市原方面だけでなく、神奈川県川崎方面でも同様の炎が目撃されたが、火事などではなく、「フレアスタック」だったようだ。  直訳すると「煙突の炎」。近くで見ればプラントの高い鉄塔から炎が出ていることがわかるが、たしかに遠くから見ると地上で燃えているように見え、地震による火災や爆発だと勘違いしかねない。しかし、地震や停電などに対応した「フレアスタック」という措置なので、むやみに誤情報を拡散したり、必要以上に不安に駆られる必要はなさそうだ。 「SNSでは時に不正確な情報が広がることがあるので、情報の出所はどこなのかを確認することは大事。ただし、地震のときは火災などが起きる可能性はあります。安心しきらず、しかし間違った情報に踊らされることなく、冷静な対応を心掛けたいですね」(露本教授)  東日本大震災から今年で10年。忘れかけていた「防災」への意識を今一度見直すきっかけとしたい。<取材・文/SPA!編集部> 露本伊佐男教授 金沢工業大学バイオ・化学部応用化学科教授。 東京大学工学部工業化学科卒業、東京大学大学院工学系研究科超伝導工学専攻修士課程修了、東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻博士課程修了。東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻助手などを経て、平成23年より現職。 専門は無機材料化学、固体電気化学、環境化学、化学教育。
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