「トンネル萌え」のススメ【画像あり】
趣味が建築物の鑑賞だなんていうと、以前はマニアックに思われたものだが、最近では「工場萌え」とか「廃墟萌え」なんて言葉もあるように、カジュアルに建築物を楽しむ人が増えていている。例えば、京浜工業地帯の工場団地や長崎の軍艦島などは、ツアーが組まれるほどで、半ば観光地化するほど人気だ。そんな中、建築ブームの次なる牽引役として今、注目を集めているのが「トンネル」である。起伏に飛んだ地形が国土の大半を占める日本は世界有数のトンネル大国。
そんな日本全国のトンネルの写真を撮り続けるカメラマンがいることを皆さんはご存知だろうか? 今回、紹介する西山芳一氏は土木建築に魅せられ、ダムやトンネルなどを専門に撮影する、この道の第一人者として業界では知られた人物。首都高速や第二東名など、普段、何気なく使っている幹線道路のトンネル製作の現場を撮影した写真はそれだけで珍しいものだが、それが西山さんの手にかかると巨大なアートオブジェのようにも見えるから不思議だ。そんな西山さんの作品群の中から、代表作をいくつか紹介しよう。
●第2東名・金谷トンネル(静岡県)
※【拡大画像】はこちら⇒https://nikkan-spa.jp/151099/tunnel_01
モルタル吹き付けをしてもらって安全を確保した上で先進導坑の中に入り、切羽に向かって掘り進めてくるジャンボ(先端に回転する削岩機がついた穿孔機械)を正面から撮影。ジャンボには3方向に伸びるアームの先端に削岩機が取りつけられ、3か所を同時に穿孔することができる。まるで切羽の中から撮ったようなアングルの写真は珍しい。
●首都高速中央環状品川線・大井ジャンクション(東京都)
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URUP(ユーラップ、Ultra Rapid UnderPass)工法という、新しい工法による施工現場。平らな地面の下にトンネルを掘る場合、通常は立坑と呼ばれる縦穴を掘り、シールドマシンを穴の底に降ろして、そこから水平に掘り進める。URUP工法ではシールドマシンを地表から斜め下に向かって発進させ、決められた地点まで掘り進んだら次は斜め上に進路を変えて地表に出す。
●首都高速中央環状品川線・シールドマシン(東京都)
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工場内で組み立てられる巨大なシールドマシンの後部。こうして一度組み立てて試験を行い、分解して施工現場に運び、そこで組み立てて掘削に入る。
●首都圏外郭放水路(埼玉県)
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増水時に地下に水をためて氾濫を防ぐ、世界最大級の地下河川。2006年に完成した。重さ500トンの柱が立ち並ぶマンモス水槽には「地下のパルテノン神殿」の別名もある。
光と影の入り混じった幻想的な写真があれば、巨大な重機でトンネルが掘削される迫力満点の写真もある。それらの一つ一つは僕らが普段、気にも留めない日常的な光景であったり、およそ一般人がお目にかかれない貴重な光景であったりするのだが、そのひとつひとつの存在感がとにかく圧倒的で、見る者に強い印象を残すのだ。
そんな西山氏の伝説的な写真集「Tunnel」(05年発刊で現在はほぼ絶版)が、この2月にiPad用の電子書籍として復刻した。オリジナルの美しい体裁はそのままに電子版になるにあたり、新たに専門家による各トンネルについての解説つきで、トンネル入門者が薀蓄を学ぶにもうってつけの内容。次なるブーム、「トンネル萌え」を先取りすれば、ちょっとだけ、アートに詳しい顔ができるかも!? <取材・文/日刊SPA!取材班>
【Tunnel for iPad】
詳細はコチラ(http://itunes.apple.com/jp/app/tunnel-for-ipad/id491284783?mt=8)
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