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平尾昌晃さんの遺産60億円バトルで浮上「音楽印税ってそんなに儲かるの?」をプロが解説




 今回の平尾昌晃さんに限らず、阿久悠さんや三木たかしさんのような昭和歌謡を彩った職業作家の大家と比べると、今のクリエーターはスケールダウンした印象が否めない。そもそも日本におけるCD販売枚数は98年をピークに右肩下がりが続いており、全盛期の半分以下になっている。ヒット曲が減り、印税率も変わっていない。となれば、さぞかし作家の懐具合は寂しくなっているのでは?

「ところが著作権使用料収入……つまりJASRAC等の年間収入は、ここ数年でほとんど変わっていません。これには2つ理由があって、まずJASRACがこれまで取り立てていなかったところからも取り立て始めるようになったということ。そして、もうひとつはコンサート収益の増大です。CD不況と反比例するように、実は今のコンサート市場はかってないほどの盛況ぶりを呈している。ジャニーズやEXILE系のようなライブに強いアーティストは、今後も収益基盤はブレないはずです」(福井弁護士)

テレビ番組での使用やカラオケの印税は?


 では、CD以外の著作権印税はどうなっているのか? コンサートはチケット収入の5%が原則。ここで問題になるのが、チケットがどれくらい売れたかという問題だ。膨大な数のコンサートの観客動員実態をJASRACが正確に把握するのは不可能なので、「会場の5~8割が埋まっている」と見なして計算されることが多いという。テレビ番組内での曲使用は、テレビ局が年間放送事業収入の1.5%を支払う仕組み。テレビ放送は兆単位の産業だから、何百億円もの金額が動くことになるのだ。

「カラオケの場合、第一興商などの通信事業者とお店側の両方が支払うことになる。ただその計算式は非常に複雑で、JASRACのホームページに乗っているものを読むだけでうんざりしてくるほど(笑)。一般的には、1曲歌うごとに数円の印税が派生すると言われています」(福井弁護士)

 いかがだっただろうか? ここまで駆け足で音楽にまつわるお金の流れを追ってきたが、想像以上に複雑な仕組みになっているのがおわかりいただけたはずだ。
 ミュージック・ビジネスはバクチ要素が強いうえに、当たると一気に巨額が動く。そのため、小室哲哉氏をはじめとして多くの関係者が人生を翻弄されてきた。また、著作権管理するJASRACはここ数年で悪役の名をほしいままにしてきており、中でも音楽教室から著作権使用料の徴収を開始した件では世論を二分する議論を巻き起こした。AppleMusicやSpotifyなどのストリーミング配信サービスも急伸する中、音楽産業はどのように変わっていくのか? 改めて注目したいところだ。〈取材・文/小野田 衛〉

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