2020年東京五輪が初のパラバドミントンはメジャー競技に負けない興奮が味わえる穴場競技
~今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪 第66回~
フモフモ編集長と申します。僕は普段、スポーツ観戦記をつづった「スポーツ見るもの語る者~フモフモコラム」というブログを運営しているスポーツ好きブロガーです。2012年のロンドン五輪の際には『自由すぎるオリンピック観戦術』なる著書を刊行するなど、知っている人は知っている(※知らない人は知らない)存在です。今回は日刊SPA!にお邪魔しまして、新たなスポーツ観戦の旅に出ることにしました。
最近、日本代表がやたらめったら強いのがバドミントン。男子シングルでは桃田賢斗選手が世界ランク1位につき、女子シングルでも山口茜選手、奥原希望選手がトップをめぐる争いをつづけています。そして女子のダブルスでは日本ペアがトップ10の半分を占めるという状況。「桃田賢斗選手が女子ダブルス世界ランク1位の選手と密会!」なんて記事が出ても、「今の1位ってどのペアだっけ?」とお相手特定班が混乱するくらいに女子ダブルスは花盛りです。
東京五輪でのバドミントン会場は最大収容人数約1万人の規模を誇る武蔵野の森総合スポーツプラザですので、さすがにまったく入れないということはないだろうと思いますが、男子ダブルス・混合ダブルスも含めた全種目で日本選手が世界トップ10級に位置しているだけに、チケット争奪戦も厳しいものになるのかなと思います。「全部の日程で日本選手がメダル争い展開中」なんて話もなくはないのですから。
恐れをなして日和るわけではありませんが、ちょっと保険は掛けておきたいところ。今回はバドミントンはバドミントンでも、さすがにコッチまではこないだろうというパラリンピックのバドミントンを視察しまして、「大丈夫だな」という手応えを得ておこうという寸法です。なにせパラバドミントンは2020年東京大会で初めて正式競技として実施されるもの。「パラリンピックにもバドミントンってあったんだ」という油断によって、間違いなく穴場となるはずです。
向かいましたは町田市にある体育館。こちらでヒューリック・ダイハツJAPANパラバドミントンなる国際大会が開催されたのです。冠スポンサーがいきなりふたつもついているこの感じはパラバドミントンの最大値を測るにはもってこいでしょう!
会場にたどりつくと、そこには思いがけない立派なおもてなしが。「単なるマイナースポーツにおいてはメダル級の選手にしかお金を出さないけれど、パラリンピック競技を支援する場合はそのこと自体が社会貢献として社内の通りがいいので、むしろジャブジャブお金が使える」という、パラリンピック競技界隈に特有の空気が漂っています。
伊達に冠スポンサーがふたつもついているわけではなく、会場内はなかなかにぎやか。ダイハツ様はわざわざ新車を持ち込んでアピールをしていますし、ヒューリック様は会社案内のパンフレットなどを持ち込んで企業ピーアールに余念がありません。パラバドミントン見にきてクルマ買ったり、パラバドミントン見にきて不動産に興味を持ったりする流れはナイんじゃないのかなーと素朴に思いますが、企業側のやる気は十分。アピール、アピール、アピールです。
選手をサポートするヨネックス様は、試合会場でおなじみのガット張りサービスを展開。地元・町田市はこのタイミングに着物の着付け教室や、茶道の体験会などを被せてイベントを盛り上げる気満点。オフィシャルグッズの売店やら、地元の子どもたちがこの大会のために描いた寄せ書きなど、街ぐるみで大会を盛り上げようという取り組みがそこかしこで行なわれています。何だか、全然穴場っぽくないです。
それでも客数さえ少なければコチラとしては問題ありません。スポンサーがいくらいようが、座席に座るわけではないのです。「たぶん選手と、選手の家族しかいないだろう……」「そもそもバドミントンもパラリンピックがあるとか知らんやろ」「車イステニスしか世間は認識してないはず」と思って踏み込んだ試合会場には、またも意外な光景が広がっていました。思いがけない人数のお客が、スタンドをにぎわせていたのです。しかも選手個人の応援バナーなども広げる熱の入れようで……!
場内は熱気に満ちていました。文字通りの熱気です。限りなくゼロだろうと思っていたお客が数百人単位でいるということもさりながら、やたらと空気があったかい。試しにロビーと競技場を行き来してみると、明らかに競技場のほうが暑い。熱気でムンムンしており、試合を見ているとじっとりと汗をかきます。
「なるほど、風への配慮か…」
バドミントンはシャトルを打ち合う競技ですので、風の影響をとても強く受けます。それを逆手にとって、エアコンの風向きを操作して自国選手に有利な追い風を吹かせるなんて国もあるそうですが、この大会ではみんなにフェアな運営になるようエアコンを止めていたのです。「エアコン動かすとシャトルが揺れるのか……」「じゃあここでやるなよ……」という言葉をグッと飲み込んでの観戦です。
しかし、この大会はこうなることを先読みして、質の高い運営がなされていました。エアコンを止めるのできっと暑いでしょうから、どうぞコチラをご利用くださいというグッズをロビーで配布してくれていたのです。応援用のバルーンスティックと一緒に配られた季節はずれのアイテム・ウチワは、この大会のいたれりつくせり感を象徴するものでした。
会場をとりまく“独特の熱気”
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