タダで観戦できる五輪種目、プールでなく海でやる競泳が穴場でおもしろい
~今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪 第63回~
フモフモ編集長と申します。僕は普段、スポーツ観戦記をつづった「スポーツ見るもの語る者~フモフモコラム」というブログを運営しているスポーツ好きブロガーです。2012年のロンドン五輪の際には『自由すぎるオリンピック観戦術』なる著書を刊行するなど、知っている人は知っている(※知らない人は知らない)存在です。今回は日刊SPA!にお邪魔しまして、新たなスポーツ観戦の旅に出ることにしました。
僕は長年の熟考の末に三大五輪花形競技というのを認定しております。具体的には、陸上・競泳・体操です。陸・海・空、地球に存在する三大フィールドにおいて人間がどこまでやれるのか、それを象徴するのがこれらの競技であろうと。陸の王、陸上。水の覇者、競泳。宙を舞う、体操。三大競技の圧倒的な五輪感は、何とかしてこの目で見たい憧れです。
しかし、これらの競技は花形だけあって、当然誰しもが見たいもの。陸上にはマラソンという誰でもタダで観戦できそうな穴場がありますが、ほかのふたつはまぁ難しいだろう……と思いますよね。実はまだあったんです、マラソンみたいな隠れた穴場が。
ということで向かいましたのは千葉県は館山にあります北条海岸。こちらで何が行なわれているかというと、日本トップクラスの選手が集うオープンウォータースイミングの大会「OWSオーシャンカップ2018」が開催されているのです。オープンウォータースイミングというのは、いわゆる遠泳のこと。
五輪の水泳・競泳種目の一角にひっそりと掲載されている「男女10キロマラソン」の種目、これこそがオープンウォータースイミング。室内での競泳種目の最後をメドレーリレーが締めくくったあとに、オマケのように実施される穴場競技なのです。オープンウォータースイミングはその名の通り、オープンな海を泳ぐ競技ですので、これは当然マラソンのようにタダで観戦できるだろう……そういう寸法です。
まずファーストインプレッションは「遠っ!」というもの。房総半島はイイところだぞと知人から聞かされていながら、なかなか訪れる機会がなかったのも今更ながら納得するほど交通は不便です。午前6時の電車に乗ったのに、現地に到着したのは午前10時。飛行機に乗れば北海道まで行けそうな時間をかけて、東京湾の反対側にしか移動できないとは。いっそ前乗りして一泊すればよかったと思うほど。
このあたり一帯は鏡ケ浦と呼ばれ、水面が鏡のように穏やかなのだとか。適度な深さの遠浅の浜辺は、まさに遠泳にうってつけ。穴場運営体制的にも、参加者全員にジェットスキーで監視つけるわけにもいきませんから、潮に流されたり波にのまれたりしづらいコチラのビーチはオープンウォータースイミングの大会にもってこいなのです。国内大会の多くがこの北条海岸で開催されており、僕も仕方なく……じゃなくて、必然的にここを訪れることになったというわけ。東京五輪ではお台場でオープンウォータースイミング種目を実施するそうですが、ホント、なぜこの北条海岸開催じゃなかったのか不思議なくらいです! やっぱり遠いからですかね!
穴場競技の朝は早く、五輪種目である10キロの部は午前7時に始まっており、到着時点ではとっくに終わってしまっていました。そのため、リオ五輪に出場した女子10キロの貴田裕美選手、男子10キロの平井康翔選手の泳ぎなどは残念ながら見られずじまい。しかし、これから将来を担う若者たちが7.5キロ、5キロの部でそれぞれ泳ぐというので、期待を込めて見守ります。
さすが大会に集う選手だけあって、打ち寄せる波をものともせず、どんどん沖へと進んでいきます。コースは海上に浮かんだ4つのブイを目安に、グルッと周回するというもの。この日のコースレイアウトは1周約1.25キロのコースを、7.5キロの部は6周、5キロの部は4周するというものでした。
以前セーリング競技を観戦しにいった際は、あまりに遠くでやっているのでロクに見えないという不都合に見舞われましたが、人間が泳ぐだけあってそこまで沖に出て行くことはありません。遠くに小さな波が見える程度には、位置を把握できます。
とは言え、誰かがいるなーというのはわかるのですが、誰がいるのかはまったくわからず。そうか、ヨットより近いけど、ヨットより人間は小さいですもんね。グルッとまわってまた海岸線付近まで戻ってくれば多少見えるのかもしれませんが、人間の泳ぎだけあって一向に戻ってくる気配はありません。ペースとしては1キロ泳ぐのに12分から15分くらいかかる感じ。スタートした選手が海岸線に戻ってくるまで20分はあるかなというところです。
知られざる“競泳のマラソン”を求めて房総半島へ
この連載の前回記事
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