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おしっこ入りペットボトルが一カ所にまとまっていた…汚部屋清掃人が語る現場

 もはや、ちょっとくらいの汚部屋なら平気で作業できると豪語する寺田さんだが、未だに衝撃的な瞬間はあるという。 「お客さんの中には善意なのですが、汚部屋内に散らばっている飲食物を勧めてくる方もいます。正直『口にしたくない』のですが、仕事上断りづらいので……ちょっと辛いですね。後は、これも飲食物関係ですが、室内にペットボトルがあるときは注意しています。高確率でアレですから(笑)」  寺田さんが恐怖するアレとは、トイレに行くのすら面倒になった住人が、ペットボトルをトイレ代わりに使うことを指し、それらは思ったよりも多いと語る。ちなみに、ペットボトルをトイレ代わりにする人のほとんどは、同じ場所で尿意を解消するケースがほとんど。尿入りペットボトルは一カ所にまとまっている場合が多いそうだ。結局、同じ場所で尿意を解消するのならば、素直にトイレに行けばいいと思うのだが……。 汚部屋 少し聞くだけでもゾッとする汚部屋の実態。そんな中、寺田さんに過去の現場で最も印象深かった現場について聞いてみた。  「一番衝撃的だったのは、ある平屋の現場ですね。ドアを開けると2メートル以上のゴミの山がありまして、天井までの空間は1メートルもないのですが、その中で中学生の息子さんと2人で生活していたのですよ。清掃していてわかったのですが、なんとゴミを散らかしたらその上にカーペットを敷いて、その上で普通に生活。ゴミが溜まればまたカーペットを敷くという暮らしを十何年も続けていたみたいなのです。もう家の中が地層状態になっているのですね。カーペットを一枚ずつ剥ぐ度に、放置された少年ジャンプがどんどん古くなっていく様は、何か歴史を感じました(笑)。あの状態の家で中学生のお子さんがいるのがちょっと信じられませんでしたね」  話を聞けば聞くほど、人間はどんな環境でも生きていけるのだなと感心させられる。最後に寺田さんは汚部屋の共通項として、「実際に生活している人が、ゴミが散らかっていることに慣れてしまっていること」が汚部屋誕生の実態だと語った。  さらに、「部屋がゴミだらけだから、必要なものが見つからなくて、同じモノを買う。それを繰り返すと、金にもだらしなくなるから、現場の床やテーブルの上には小銭とかも散乱している」と語り、「やっぱり自宅はこまめに掃除したほうがいいですね」と、汚部屋に“慣れる”ことに対して警告した。  実際、汚さや臭いは慣れるものである。「ちょっとくらいならいいや」と油断していると、あなたの自宅も汚部屋になるかもしれない。 取材・文・撮影/慎虎俊
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