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上野の客引きを、警察がガチ浄化中。チェーンソーで店に強行突入も

 JR上野駅から徒歩5分弱。仲町通りを中心に、夜の上野の路上に立つ客引きへの警察の取り締まりが、ここ数年の間、目に見えて強化されている。いま上野はさしづめ「浄化作戦」の渦中にある。

仲町通り

「客引き一斉取締り実施」の看板が

 ‘18年11月21日にも客引きの逮捕者が出たばかり。今度は中国人2名だった。このエリアには中国パブに限らず、韓国パブ、タイパブ、フィリピンパブなど多国籍の店舗が軒を連ねているのも、混沌とした雰囲気に彩りを添えていると言えるかもしれない。’18年末、この原稿を書いている今も上野の夜を私服警官が監視員を連れ立ってパトロールしている。この4年夜の上野に立ち続け、平成最後の上野を見届けていた客引き、浮間Pさんに「上野の現在」について話を聞いた。

「まず上野の現状からいうと、かなり厳しい状態が続いている。(客引きで)長い人になると11年くらいここにいるのですが、そういう人たちの話では一昔前までは立っているだけで、お客さんの方から声をかけられる時代だった。それを知った客引きがグループを組織して増えていったわけです。そのなかで、最近で言えば硫酸事件もそうだし、明るみに出ていないような客引き同士の客の取り合いを巡る抗争が起こった」

 実際に歩いてみると、警察や監視員の数も驚くほど多い。ここで浮間Pが言う“硫酸事件”とは風俗店の客引きグループ同士が揉め事を起こし、最終的に敵対するグループのメンバーに硫酸をかけたという事件だ。この事件が起きたのが’15年、逮捕者が出たのが’18年の4月だった。浮間Pが、この事件の背景について解説する。

「もともとはお金を稼ぎたくてこの町にきた人たちが、この町を奪い合い、結果収拾がつかなくなった。それで出てきたのがお巡りさんというのが実情です。お巡りさんにしても、少し前までは一年のこの時期はうるさい……年末だったり、(上野公園の花見シーズンの)春先だったり…という感じだったのが、どんどんその期間が長くなっていって、気付いたら一年通してうるさい地域になってしまった」

客引き取締り さすがに硫酸まで出てくるのでは、警察の風当たりが強くなるのも仕方ないだろう。そういった揉め事が起きてしまうのには、上野特有の事情があると浮間Pさんは言う。

「都内のほかの町では普通1組のお客さんに対して、1組の客引きの交渉が終わるまでほかの客引きは入れないんです。上野は違う。1組のお客さんに、一度に3~4組の客引きが当たっていい。これは“かぶり”という行為で、足の踏み合いや肩を入れる、ときには殴り合ってみんなで取り合う。お客さんをほっぽりだして揉めるみたいな光景も見ましたね。3年くらい前まではまだそんな感じでした」

 上野特有の事情、つまりそれが“かぶり”だ。夜の街で複数のグループが同時に一組の客を取り合う以上、揉め事が起きるのも必然という気はする。

「硫酸の事件とはまた別の話ですが、当時は“かぶり”を専門にしている客引きもいました。そういう人は揉めるのが目的でかぶっているわけではない。かぶる人は店に行きそうなお客さんを判断する能力が高かったりするんですよ。それでほかの客引きが声をかけていても、自分がイケると思うと構わず行ってしまう」

 そしてこの特殊な事情から、ついに上野では異例の逮捕者を出すに至った。「条例違反」の現行犯逮捕ではなく、逮捕状をもっての逮捕だった。これは客引きの逮捕としては異例だと言う。

「普通、客引きが逮捕されるのは、私服警官と気づかずについていって声掛けしてしまった時なんです。大抵は“付きまとい”という行為で捕まる。ただ、そうやって逮捕されたからといって、最初から前科がつくわけではなくて、この場合は条例違反の罰金のみ。だからみんな客引きするわけですよね。客引きからすれば(そういう条例をわかった上で、逮捕されても)『うぜぇな』程度の感じだった。

 それが上野では全国で初めて逮捕状によって客引きが捕まったんですよね。それが“かぶり”を専門にしている客引きだった。これまでは町に出ていても、客引きをしていない時の逮捕はあり得なかった。その客引きは何もしていないときに逮捕状を持ってこられて、『客引きやってないよ。何もやってないじゃん』と。その客引きが警察にそう答えている映像も世に出たんですよね。それを見て、客引き周りでも『客引きでも逮捕状出るの?』という話になっていった。それが’17年のことです」

 つまり、逮捕された客引きは「揉め事」の元凶として責任を取らされる形になった。原因は本人にあったとはいえ、スケープゴートの意味もあるのではと推測できる。そして、これを機に上野の客引きの逮捕が相次ぐ。

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機動隊が電気ノコギリで強行突破

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