Fラン大学生の間で流行する裏のカネ稼ぎ。将来を不安視して…
「ここ5~6年、裏社会の現場で大学生の姿を見る機会が増えてきている」
ノンフィクション作家の草下シンヤ氏がそう話す。『裏のハローワーク』など、裏社会に関する書籍を多く発表している草下氏は現在、「週刊ビッグコミックスピリッツ」で連載中の漫画『ハスリンボーイ』(小学館)の原作を担当。 “ハスリン”とは非合法な商売で稼ぐことを意味する。作中では主人公である大学生のタモツが、奨学金返済のため違法な道具屋として池袋の裏社会で働く様子が描かれているが、フィクションとはいえ、実際に多くの取材に基づいているそうだ。
いま大学生(若者)の間で裏稼業が流行しているとはどういうことなのか。草下氏に話を伺った。
「大学生は裏稼業においてバレにくい(職質されにくい)という特権があり、裏社会の人間が利用しようとするんです」
一般的に大学生といえば、一人暮らしを始めたり、サークルや飲み会、旅行など遊びの機会が増えたりする。当然、お金が必要となってくる。そんなときに近寄ってくるのが裏社会の人間たちだ。とはいえ、大学生が普通のアルバイトではなく、裏稼業にまで手を出してしまう背景にはなにがあるのだろうか。
「裏社会にいる大学生はいわゆるFラン大学の人間が多い。真面目に就職したとしても年収300万、日本経済は縮小していくばかりで先が見えない。表の世界でやっていくことがバカバカしく思えてきてしまうようです。そのなかで一見派手に見える裏社会に魅せられ、道を外してしまうことが多いですね」
現在は大卒だからといって安定した未来は約束されていない。それならば一攫千金を狙って……ということらしい。一方で、大学生にとっては大金でも、裏社会にとっては端金。彼らにとっては使い勝手のいい労働力を安く購入している構図なのである。
では、実際に普通の大学生がどのようにして裏社会に流れていくのか。「数年前の一斉摘発で捕まったキャッチの半数が大学生だった」と草下氏。
現在、都内をはじめ多くの繫華街では路上での客引き行為が条例で禁止されている。上野の仲見世通りなど浄化された地域もあるが、迷惑な客引き行為が絶えない地域もいまだに見られる。
そんなキャッチの仕事が大学生に人気のアルバイトとなっているらしい。とはいえ、それが裏社会への入り口となってしまうこともある。
「通りによって仕切っている組織が異なり、最終的にはケツモチである組織に金銭が流れることになる。路上に立つにも場所代を組織に2~3万円程度収める必要があり、やはり一般的なバイトと比べると、裏の人間と接する機会が多いです。またキャッチの間には “やっつけ”っていう言葉がある。ムカついた客がいれば、ぼったくりの店に連れて行っちゃう。そういう店との繋がりから、裏社会に足を踏み入れてしまう大学生が多いですね」
ほかの裏稼業と比べて、路上のキャッチは大学生にとってハードルが低い。なろうと思えば誰でもなれる。しかし、そこは繁華街。裏社会の人間も少なくないのだ。
Fラン大学生が将来を不安視、裏社会に希望を見出す
入り口は繁華街のキャッチから…
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『ハスリンボーイ』 奨学金という借金を背負ったタモツは、社会人になる前の完済を目指して、学生でありながらアブない仕事で金を稼ぐ…! 『東京闇虫』シリーズの本田優貴と『裏のハローワーク』の草下シンヤが描く、<リアル裏社会>の“新感覚アウトロー成長譚”! |
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