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自称・未来からきたおっさんが唯一、的中させた“予言”――patoの「おっさんは二度死ぬ」<第27話>

 昭和は過ぎ、平成も終わりゆくこの頃。かつて権勢を誇った“おっさん”は、もういない。かといって、エアポートで自撮りを投稿したり、ちょっと気持ちを込めて長いLINEを送ったり、港区ではしゃぐことも許されない。おっさんであること自体が、逃れられない咎なのか。おっさんは一体、何回死ぬべきなのか——伝説のテキストサイト管理人patoが、その狂気の筆致と異端の文才で綴る連載、スタート! patoの「おっさんは二度死ぬ」【第27話】未来からきたおっさん  不思議なおっさんに出会ったことがある。  あれは小学生3年生くらいの頃だっただろうか、僕は泣きながら川沿いの道を歩いていた。なぜ泣いていたのか。確か友達に置いてきぼりにされたとかそんな理由だったと思う。  当時の僕は、家が貧しかったので自転車を買ってもらえなかった。他の友人たちはやれ7段変速の自転車だとか、やれ最軽量の自転車だとか、そういったものを買ってもらって、それを駆って遠くまで遊びに行っていた。  僕も自転車はないが友人とは遊びたいので、自転車軍団を走って追従し、一緒に遊んでいた。けれども、邪魔だったのだろう、隣町の公園に行ったところで撒かれてしまった。みんなで秘密裏に相談したのだろうか、彼らはいつの間にかいなくなっていて、チェーンをぐるぐる巻きにして高くしたブランコだけが風に揺れていた。  知らない公園だ。遠い場所だ。帰り道も良く分からないかもしれないし、ここまで走ってきたので足も痛い。とりあえず川沿いに帰ればなんとかなるだろうと良く分からない理論で歩いていたら、妙に泣けてきた。なぜ自転車を買ってもらえないのだろうかと考えて泣けてきた。情けなさもあったのかもしれない。  歩いていると、目の前におっさんが立っていた。ちょうど、たくさんの犬を庭で放し飼いにしている家があって、妙に獣臭い香りと騒音のような鳴き声がする場所に、そのおっさんは立っていた。  そのいでたちはどこかみすぼらしい感じで、明らかにパッとしない大人に代表されるような苦しい身なりだった。表情も暗く、頭髪に滲む多めの白髪と無精ひげがその外見をより貧相に際立たせていた。 「やあ、どうした? そんなに泣いて」  そのおっさんは軽やかにそう言った。なんだか挙動不審な感じでそう言った。 「なんでもないです」  そういった怪しい大人は全員犯罪者なので相手にしてはいけないと教育されていたので、相手を刺激しないよう、最低限の受け答えで留めた。けれどもおっさんは引き下がらない。 「なんでもないことないだろ、いってみろよ」  ここまでグイグイとくるのは人さらいに違いない。ただ、あいにく我が家は自転車も買ってもらえないレベルの貧しさだ、誘拐しても何も得るものはない、そう言おうと思った。 「いえ、本当になにもないんで。それに僕を誘拐してもお金になりませんよ」 そんなことを言ったと思う。すると、おっさんはしばらく固まっていたが、少し間をおいて高らかに笑った。 「誘拐? バカな! ガハハハハハハハ」  こうやってまるで“ありえないこと”のように笑うのは逆に怪しい。図星を突かれたというやつじゃないだろうか。完全に怪しい。  そういった怪訝な眼差しをぶつけているとおっさんはそれを察したのか、急に真面目な顔になって弁明した。 「実はな、おじさんな未来から来たんだわ。しかも聞いて驚くなよ」
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おじさんは33年後の僕だと言った
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