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ドル円の大暴落…正月に続き、GW10連休も!? 日本人の長期休暇が狙われる

ミセスワタナベ狩りは何度も繰り返されてきた

 投資にリスクはつきものだが、今回のフラッシュクラッシュ(瞬間暴落。わずかな時間で株価や通貨が暴落すること)は、海外のヘッジファンドが日本の個人投資家を狙い撃ちにした可能性があると指摘する金融関係者は少なくない。日本の個人投資家は、海外の投資家からミセスワタナベと呼ばれ、カモにされている現実がある。元シティバンクの為替部門チーフトレーダーであり、海外の著名投資家とのつながりも深い西原宏一氏は、今回の大暴落の舞台裏について、こう語る。
トルコリラ暴落

’18年8月に起きたトルコリラ暴落の際は、数多くの市民が外貨両替所に殺到。取りつけ騒ぎにも似た騒動に発展した(写真/EPA=時事)

「典型的なミセスワタナベ狩りです。日銀のゼロ金利政策が続いているので、個人投資家にできる目ぼしい投資は、株以外では日本円で外貨を買うことぐらい。高金利の外貨を買い、金利差で利益が入ってくるキャリートレードという手法を好みます。 そこを狙われ、過去にはNZドル、南アフリカランド、トルコリラの暴落で被害が発生しています。今回もそれと似たケースです」  つまり日銀のゼロ金利が続く限り、ミセスワタナベは海外ヘッジファンドに狙われ続ける悲しい宿命を背負っているのだ。 「金利が高いのは主に新興国通貨なので、これまでのミセスワタナベ狩りは新興国通貨を狙ってきました。今回のように米ドルを海外のヘッジファンドが狙うのは珍しいのですが、アメリカは政策金利が2.5%まで上昇。日本円からすれば高金利ですし、レバレッジをかければ利益も十分に大きくなるので、日本人投資家からの人気は高かったのです」  だが、いくらヘッジファンドが狙ったからといって、そう簡単に主要通貨のドル円の相場を崩せるのだろうか。 「昨年のトルコリラショックと同じ、“魔の時間帯”が狙われました。日本時間の早朝7時から8時は薄商い。ニューヨーク市場は7時に終わり、東京が始まるのは9時。開いているのはシドニー市場ぐらいですから、取引が少なく相場が動きやすい。 ヘッジファンドはこの時間帯をよく狙ってきます。トルコリラのほかに、’16 年の南アフリカランド、東日本大震災直後の米ドルの急変も、この“魔の時間帯”が狙われています」 《過去に起きた通貨の急騰急落》 2011年3月17日 米ドル……東日本大震災直後の混乱の最中、シドニー市場では前日よりも5円近く円が値上がり、ドル/円が76円まで急落した 2015年1月15日 スイスフラン……スイスフラン/円は115円台から162円台まで一気に急騰、しかし、その後すぐに30円ほど急落する乱高下となった 2016年1月11日 南アフリカランド……わずか20分間で南アフリカランド/円は、前日の7.2円から6.2円まで暴落。約13%の下落率である。その後すぐに上昇に転じ、取引終了時には7円付近まで反発 2016年6月24日 ポンド……イギリスのEU離脱国民投票の結果が判明し、ポンドが大暴落。ポンド/円は133円まで急騰、下げ幅が27円近くに達した 2018年8月13日 トルコリラ……8月10日時点ではトルコリラ/円は20円台だったが、13日早朝には15円台まで下落。下落率は20%超え
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