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はしかが関西から大流行、実は世界でも…。“反ワクチン運動”が影響か?

大阪などで、はしかの感染者続出

 バレンタインデーに届けられた“最悪の贈り物”と言うべきか。  大阪市内にある百貨店・あべのハルカス近鉄本店が開催していた「バレンタインフェア」で、販売を担当していた女性ら10~40代の従業員10人と、会場を訪れていた10~30代の客6人の計16人が麻疹(はしか)に感染した。 麻疹 2月15日現在、感染が確認されているのは大阪で43人。昨年12月に宗教団体が主催した研修会で10~20代の男女が集団感染した三重は49人にも上り、その勢いは和歌山、愛知、岐阜にも飛び火しているほどだ。13日には、東海道新幹線で新大阪-東京間を往復したという40代女性の感染が報じられたが、国立感染症研究所の最新の集計では、すでに昨年1年間の患者数の半数を超えるなど、過去10年間で最多ペースを更新しているという。  はしかは「空気感染」するため、その感染力はインフルエンザの実に10倍以上。潜伏期間はおよそ10日で、発熱や咳、鼻水など風邪と似た初期症状が出た後、全身に赤い発疹が現れ、4~5日にわたって39℃以上の高熱に見舞われる。免疫力が低下するため合併症も起こしやすく、重症化した場合、死に至るケースもあるというが、果たして、なぜ、これほどまではしかが蔓延するような事態となったのか? 厚労省の医系技官を経て、現在、一般社団法人パブリックヘルス協議会代表理事を務める医師の木村盛世氏が話す。

なぜ、はしかが蔓延するような事態となったのか?

「はしかはワクチンを2回接種すれば、ほぼ100%予防できるが、国の“ワクチン政策”が迷走し続けたことで、はしかに限らず、ほかの感染症も毎年流行するのが当たり前のようになってしまった。現行のはしかの予防接種は、’06年から1歳児と小学校入学前の計2回行うルールになっているが、’78~’90年4月1日に生まれた人は1回しかワクチンを打っていないため、現在29~42歳の人は最も感染の危険が高い“空白世代”に当たるなど、年齢によって接種率にバラつきがあるのです。 そもそも厚労省は、今も感染症対策について明確な指針を示しておらず、はしかのワクチン接種も『義務』ではなく『努力義務』とするなど、場当たり的な対応を続けているにすぎない。子宮頸がんワクチンの『副作用』の問題がマスコミに叩かれ、ワクチン忌避の動きが広がると、訴えられるのを恐れて、一転、“積極的干渉”を控えるようになったのがいい例です」  予防接種後に「疼痛」などを訴える声が多数出たことで’16年に集団訴訟に発展した子宮頸がんワクチン(ヒトパピローマワクチン)問題。被害を訴える女性たちは救済措置の対象となったものの、WHO(世界保健機関)からは「因果関係はない」として、ワクチン接種を控える日本の対応が非難された。
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麻疹の流行は日本だけにとどまらない
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