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嫌われず、愛される中年男性になるには?

鈴木:すごいわかります。たとえば中高生の頃にモテなくて、それが悔しくていい大学出て、大手企業に入って出世した……。なのに、キャバクラとかで「カネ目当ての女は嫌だ」「会社じゃなくてオレの本質を見てほしい」みたいなことを言っていたりするんですよ。 いやいや、お前にほかに何があるんだよって(笑)。若い頃にいい思いをさせてくれなかった女への復讐みたいな面もあるんでしょう。会社では部下の女のコに必要以上に厳しく当たって、キャバクラではモテたがって。そりゃ嫌われますよ。 常見:ははは。まあやっぱり大学とか会社という“ラベル”しかない人は弱いんですよ。上の世代のはそういう価値観で生きてきたからどうしてもそうなっちゃうし、若い人でもラベルに依存している人はいるんじゃないかなあ。世代関係なく、そういう人は嫌われますよね。

職場以外の居場所が愛されオッサンを育む

鈴木:私の新聞社時代の上司ってだいたい40代くらいで、音楽オジサンが多かったんですよ。彼らは若い頃から音楽にハマって充実していたから、「人生うまくいかない」みたいな鬱憤がない。今も趣味を持っているから、会社の評価が命じゃなくて、余裕があるんです。そういう人は意外と嫌われない。同じブチギレ系上司でも、ぜんぜん印象が変わってくる。 常見:リアルにせよネットにせよいくつかのコミュニティがある人は強いですよね。人生の豊かさっていうのはコミュニティ、居場所の数なんじゃないかという気がしていて。もっと言えば多様性。多様な価値観を理解しようとすれば、嫌われるようなことはそうそうしないと思います。 鈴木涼美鈴木:女性と比べると男性はそこが弱いですよね。シングルマインドの人が多いというか、会社の評価を失うと人生終わりみたいな必死さが出てしまう。会社ではそこまで評価が高くなくても、別のコミュニティで評価されていたら、ほどほどに自信が持てて、全体の底上げにつながりますよ。 常見:自信がないオッサンは痛々しいからねえ……。結局のところ、オッサンはいろんなコンプレックスとプライドが入り交じった存在なんです。で、自分に自信がなくて余裕がないから、本人の安全の保証のためにパワハラに走る。それでいて、嫌われたくないとは思っているから。 鈴木:女性が嫌うポイントを見ても、すぐに都合の悪いことからは自分を外して、いいことだけ自分は当てはまると喜んだり。見た目でもそうですよね。清潔感があることは誰も嫌じゃないのに、そこを疎かにして「あるがままのオレ」を見せたがる。美容に気を使う男性に対して「男のくせに」って言ってみたり。
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時代に嫌われてしまったオジサンはかわいそうですよ
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おじさんメモリアル

哀しき男たちの欲望とニッポンの20年。巻末に高橋源一郎氏との対談を収録

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